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ぼくのきおくの書

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忘れてしまわないように。
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2024年12月の記事一覧

違う世界に紛れ込む

友人の店に行くと、道路にまであふれるほどお客さんがいた。和気あいあいと盛り上がる人たちの姿。うちのお店ではありえない光景に悔しくて顔が引きつる。

劣等感をまといながら所在なさげに店内をうろつく。楽しそうなお客さんたちの様子をみていると、徐々に気づかされる。

あきらかにわたしは場違いだった。コミュ力の低いわたしが頑張っても、この場に馴染むことはできなさそうだ。

失礼にならない程度に会話をして、

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天啓を待つ昼寝

昼間から布団に入っている。今日は休日だけど、朝から溜まっている仕事を片付けていた。あっという間に14時を過ぎていて、体が重い。

最近はいろんなことが思うようにいかない。SNSを開くと陰鬱なニュースばかりで、誰もが怒りと嫌悪にまみれている。

年末にこの状態ではあまりにも救いがない。ここから脱出するには、何かのきっかけが必要なのだろう。でもそれが何かはわからない。

天啓を待ちながらとりあえず眠ろ

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あとは寝ていればいい

インフルエンザからは回復したものの、体は重いままの日が続く。夕方には体力と気力が尽きて、ぼんやりと魂の抜けた人のように緩慢に動いている。

けれど、こんな状態の自分も悪くはないなと思う。いくら働いても収入に直結するわけでもなく、無能な自分を取り繕うために仕事をしているだけ。必死にパソコンに齧りついていようが、呆然と窓の外を眺めていても、明日の生活は何も変わらない。病後という大義名分によって、どうし

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ガラス瓶を預かる

先週末に高熱がでて寝込んでいた。食欲もなく、布団ともに過ごす。3日で体重が3㎏落ちた。

熱が高い時期は昏昏と眠り続けていた。恐ろしく寒気がして、体のあちこにからビルが建ってくようだった。

医者に薬をもらい飲んでから、症状は少しづつ緩和され、最近は眠り続けることもなく、うとうとする時間帯がふえた。

年末なので、この時期にするはずだった仕事がたくさんある。気休め程度でも片付けたいのだが、重量が1

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布団よりも

布団のなかで1日を過ごす
このまま風邪が治らなれば
ずっとここいられるのに

恐る恐る開くノートパソコン
溜まっていくメールに
心が押し潰される

子どもの頃から病弱だった
病気が苦しくて学校に行く日が
近づくのが憂鬱だった

何十年経っても変わらない
あの頃に比べれば社交力は
少しはあるはずなのに

夢の中でメールに返信をしてした
そろそろ起きなくては

やさしい歌

風邪を引いて臥せっている
ひとり布団に寝ていると
やさしい歌が聴きたくなる

ゆったりとしたメロディ
心地よい歌声
悲しみとともにある歌詞

こんなに恵まれているのに
いつまで経っても足りていない
そんな気持ちがつきまとうけど

心が普段よりもやわらかくなる
こんな夜はやさしい歌に
包まれていたい

何でも話せる友人はいない

常連さんが隣の店でイベントをするという。しかし、人が集まる気配がないので閉店後に立ち寄る。

いつもお店でするような取り留めのない話題に終始しているうちにイベント時間が終わる。

この地に引っ越してしてから頻繁に顔を合わせる友達もいなくなった。日常的なたわいのない話は妻とかわすが、他に話す相手もいない。

そのためか、何人かの常連さんと雑談することが多くなってきた。小説の話、映画の話、音楽の話。相

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誰もこない店番

遅くまで店を開けていたのに誰もやってこない。冬の寒さが本格化したせいだろうか。このところ急激に気温が下がっている。

7月もそうだった。急速に強さを増す真夏の強い日差しに遮られ、ここまで歩いてくる人がいなくなった。

休日はソファの上で

休日をソファの上で1日過ごすと、自分が無価値な存在に思えて後悔してしまう。週に一度しかない休みを充実させずして、私の人生の意義はどこにあるのか。

そんな焦燥感にかられ、休日のわたしはパジャマを脱ぎ捨ていつも街へ繰りだしてきた。

ところが、今日は気力が尽きていたためスマホでSNSを眺めたり、読みかけの本を手に取るうちに貴重な休日の1日が過ぎ去ってしまった。

病気以外で今日のように休日に一歩も外

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どうでもいい言葉

昨日の夜は不安に襲われて眠れなかった。一滴の墨汁が、水面を黒く染めるように、心が塗り潰されてしまう。

ほとんどのことが、どうでいいことであるという言葉を胸に刻んで生きてきた。取るに足りない虚栄心を捨てると、身軽になった。

わたしの言葉が届かなくても、世界はいつもと変わらない。わたしもあなたも、ずっとここにいる。