ガラス瓶を預かる

先週末に高熱がでて寝込んでいた。食欲もなく、布団ともに過ごす。3日で体重が3㎏落ちた。

熱が高い時期は昏昏と眠り続けていた。恐ろしく寒気がして、体のあちこにからビルが建ってくようだった。

医者に薬をもらい飲んでから、症状は少しづつ緩和され、最近は眠り続けることもなく、うとうとする時間帯がふえた。

年末なので、この時期にするはずだった仕事がたくさんある。気休め程度でも片付けたいのだが、重量が10倍になっているので動けない。

おかげで嫌な夢ばかりみる。高い塀の上に女性が立っている。ガラス瓶を大事に抱えている。割ってしまいそうだから、私に持っていてと、塀の真下にいる私に向けて、女性はゆっくりと手からガラス瓶を離す。

真っ直ぐに落ちてくるガラス瓶を私は慎重に受け止める。

私は塀の下にある溝の中にいて身動きは取れない。女性は心配そうにこっちをみる。わたしも心配そうに女性を見上げる。ガラス瓶の中身はわからない。

ゆるやかな回復の日々だった。寒気は徐々に遠のき。熱はゆるやか下がり。体の各部に湧き上がる痛みが消える。重量から解放される。睡魔も去った。食欲はないが、味覚は戻ってきた。

今日は気がかりだった仕事をひとつ片付けるた。明日は出勤できるだろう。それでも気分はまだすっきりとはいかなくて、どこか夢見心地だ。

預かったガラス瓶をまだ返していないことが気がかりだ。あの女性は誰なのか、何が入っているのか。


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