違う世界に紛れ込む
友人の店に行くと、道路にまであふれるほどお客さんがいた。和気あいあいと盛り上がる人たちの姿。うちのお店ではありえない光景に悔しくて顔が引きつる。
劣等感をまといながら所在なさげに店内をうろつく。楽しそうなお客さんたちの様子をみていると、徐々に気づかされる。
あきらかにわたしは場違いだった。コミュ力の低いわたしが頑張っても、この場に馴染むことはできなさそうだ。
失礼にならない程度に会話をして、そそくさと用事をすませて、その場を立ち去る。
自分の限界を知ることは大切なことだから、いい経験になった。けれど、自分の限界を知ることは、胸が締めつけられる。
賑わう友人の店を素直に喜べる鷹揚な人間になりたかった。足りないものを数え上げながら、次の目的地へ向かう。