漢詩1首だけ中国語で言えるようにするプロジェクト
「声に出してよむ漢詩の名作50」荘魯迅
を読んだ。
「エモい古語辞典」読んで、「李白ええやん」ってなったから。
タイトルの「声に出してよむ」が私の性格にはピッタリ来た。
英語も古文も漢文も、音読主体の勉強で乗り切ってきた人間で、「声に出してよむ」は大好きだ。
古文・漢文が好きなのは、文語体の讃美歌に小学生のころから親しんできた影響があるかもしれない。
やはり漢詩はかっこいい
さて、本書を通勤電車で黙読し、家で音読した。
すごいすごい、やっぱりかっこいいね!(小並感)
孟浩然の「春暁」、
杜甫の「春望」、
李白の「静夜思」、
中学校で暗唱したなあ。
高校では暗唱まではさせられなかったけど、
「客舎 青々 柳色新たなり」とか
「唯だ見る 長江の天際に流るるを」とか、たぶん読んだよ。知ってるもん。
「岳陽楼」も登ったことある気がする……
おっと「垓下の歌」も載ってる! 虞や虞や若を奈何せん……
中高での古文・漢文の勉強はね、役に立つ立たないじゃないのよ。
大人になってから一人ニヤリとする瞬間のためにやるのよ。(言い方)
(ちなみに、「聖闘士星矢」で老師が吟じていた「飛流直下三千尺……」は載っておらず……
李白は採用しだしたらキリないもんなあ)
今回、初めて触れて心に残った詩句
ひえええかっこいい……!!
これは「氷清玉潔」、「清きこと玉壺の氷の如し」とともにわが師カミュに捧げるしかない(ひと様の作品を勝手に)
長い詩なんだけど、最後にズドンと打ちぬかれた。
解説文も合わせてすばらしい。
万古の愁い……!! やっぱスケールが違うな漢詩は。
これだー、『図書館の魔女』で引用(?オマージュ?)されていたのは!
高田大介ファンは須らく読むべし。
井伏鱒二の名訳も一緒に紹介されているぞ。さよならだけが人生だ。
解説文もかっこいい
著者は日本語ネイティブでないのに、いや、だからこそなのか? ものすごいカチッとした格調高い文章。
「千古の名吟という誉れにふさわしく、…」
「平明な言葉でこみあげる惜春の思いをつづった」
「……絶えざる民族紛争に苦しむ人々が抱えた共通の悲哀にほかならないのである」
(「~にほかならない」は高田大介の文章にもよく見られ、学者好みのフレーズに思える)
詩の背景として各詩人の人生や事件の説明もあり、中国の歴史に興味がある人も楽しめる。
それにしても「出世→皇帝にモノ申す→左遷」パターンが多いな!
中国語で声に出してよむ!
さて私が「声に出してよむ」を実行したのは、「読み下し文」の方であった。
しかし、この本の肝はそこではない。
そう、中国語で音読できる作りなのだ!
著者による朗読の音声ダウンロードも無料でできるというから手厚い。
これは情熱がなせる技にほかならない。(←使ってみる)
ひとまず、私は読み下し文が音読できれば満足だ。
この、中国語ではもちろんなく、かといって日本語とも言い切れない、不思議な文。
「南朝 四百八十寺
多少の楼台 煙雨の中」(p.178)
とはいえ、せっかくの機会、中国語で吟じられるようになったら素晴らしいのではないだろうか。
一首だけ。
練習する一首を選ぶ
英語教員だった経験から自信をもっていう。
外国語学習では、最初は欲張ってはいけない。
一首に絞る。
それも、短いのがいい。五言絶句か七言絶句だ。
中国語の素養が皆無の私でも、英語のシャドーイングの要領でいけそうなくらいのがいい。
なおかつ、中国人の前で吟じた際(あるのかそんな「際」?)に、相手がきちんと知っているような有名なやつがいい。
まあ、「名作50」なんだから、中国人には全部常識かもしれない。しかしpeople in Japanが全員「百人一首」の全ての歌を知っているわけでもないからなー。そもそも私に本国での知名度がわかるはずもない。
でも有名すぎては「ベタ」のそしりを受けることになりかねず(もういいよ)
とりあえず、目星をつけていく。(一行目を載せる)
1.「渭城の朝雨 軽塵を浥し……」(p.34)
2,「故人 西のかた黄鶴楼を辞し……」(p.68)
3.「江碧にして 鳥逾白く……」(p.98)
4.「千山 鳥の飛ぶこと絶え……」(p.136)
では、著者の朗読を聴いてみよう。
…
…
…
…
……むっず!!!!
中国語、マジ難しくないすか!?
波打ってるよ 日本語にも英語にもない感じで波打ってる もはや音楽だ
読み下し文と雰囲気全然違うわー(あたりまえ体操)
こうしてみると英語初心者の気持ちがわかるよね(笑)
ちょっとでも短いのを選びたい!
ちょっとでも簡単そうなのがいい!!
茶ぶどうは今回、4を選ぶことにした。これが一番真似しやすそうだ。
柳宗元の「江雪」。
最初の4字を並べると「千万孤独」になるというのも気に入った。
(ラテ欄を思い出したとか中〇っぽいとか思ったのは秘密だ)
ここで宣言しておくことで、もしかしたら本当に、この一首だけは中国語で吟じられるようになるかもしれない。
かも……しれない……
(言うのはタダだから……)