本屋、はじめまして #2 RIVER BOOKSー後編
本と仕事と店主についての
8問8答
1 オープンから 5 ヶ月、率直な感想は?
あっという間でした。想像以上にたくさんのお客様が来てくださって驚いています。ビールが飲める本屋なので、夜間営業や大みそかの年越し営業などもチャレンジしました。今は試行錯誤できる日々が純粋に楽しいです。
2 仕事の必需品は?
Instagram。営業時間のお知らせや新入荷本の紹介、イベント案内など、情報発信のツールとしてSNSには日々お世話になっています。ぜひフォローお願いします笑(@riverbooks_numazu)
3 最近気になったニュースは?
1/1に発生した能登半島地震。私自身、仕事で数年間北陸に通い詰めたことがあり、友人知人、好きなお店やスポットがたくさんある場所です。静岡も地震が身近にある地域なので、なにか少しでもお役に立てないかと、3月まで当店のビールとほうじ茶1杯につき100円を募金に充てています。
4 今読んでいる本は?
『ラジオ ご歓談!爆笑傑作選』著:みうらじゅん・いとうせいこう(リトル・モア)
みうらじゅんさんといとうせいこうさんの雑談がひたすら続きます。
笑いながら、肩の力を抜きっぱなしで読める一冊。こんな雑談を楽しめる大人になりたいです。
5 読書をするシチュエーションは?
寝る前が多いです。本を読みながら寝落ちして、何度も同じところを読む、みたいな読書がけっこう好きです。
6 これまでの人生で記憶に残る1冊は?
『宇宙からの帰還』立花 隆 著(中公文庫)
宇宙飛行士が地球に還ってきた後を追ったインタビュー集。宇宙での体験が人の認知にどんな影響を与えるのか。学生時代に読んで以来、月を見ると時々この本のことを思い出します。当店の本棚にも欠かさず置いています。
7 江本さんが考える「本の魅力」とは?
自分がぜったいできない人生の追体験と、タイムトラベル。
1000年前の貴族の日記と、書籍化されたWeb日記が同じ棚に並ぶ自由さが好きです。
8 本屋さんとしてこれからやってみたいことは?
本屋は余白の多い業態で、何色にも染まれるニュートラルさが魅力だと思っているので、異業種とのコラボをたくさんやりたいです。これまでに近所の老舗精肉店のメンチカツを販売したり、カフェにコーヒーの出張販売に来てもらったりしました。近隣のお店と一緒にイベントをやることで、街も盛り上がります。本屋があることで、地元がにぎわうお手伝いができたらいいなと考えています。
店主のおすすめ(本に限らず)
1 生活フォーエバー
寺井奈緒美 著(ELVIS PRESS)
日常のふとした出来事や気持ちを短歌と文章で綴ったエッセイ集。ああ、わかるー!と共感しまくりながら読みつつ、脱力&軽妙でテンポの良く言語化された短歌と文章の鮮やかさにやられてしまいました。私が面白い面白いとお客様に推していたのですが、先日お買い上げいただいた方が翌日わざわざ「すごく面白かったです!」とだけ言いに来ました。まさに誰かに伝えたくてたまらなくなる面白さ。超おすすめです。
2 ティンダー・レモンケーキ・エフェクト
葉山莉子 著(タバブックス)
マッチングアプリのTinder上で出会った男性に夜な夜な送り続けた日記をまとめた一冊。同時代の知らない女性の日記を覗き見ているような気持になりつつ、日記の書き手である葉山さんは明確に読まれることを意識しているという、見る/見られるの共犯関係にドキドキします。なにより葉山さんの事実と内省を織り交ぜた文章がとてもよい。アートや展示の感想などはレビューとしても楽しめました。10年、20年経ったらこの本はどんな読まれ方をするのか、スマホ上のデジタルなテキストが紙の本になった意味にも思いを馳せています。
3 しみじみパスタ帖
カワウソ(萬田康文と大沼ショージ) 著(誠文堂新光社)
写真家として活躍しつつ、プロ並みの料理の腕を持つ萬田康文さんによる、普段使いできるパスタレシピ本。春夏秋冬の章立てになっていて、季節の旬の素材を軽やかに使って作るパスタが美味しいのは言うまでもないのですが、萬田さんの味わい深い文章を読んでいくとパスタが出来上がるという構成も◎。私は年がら年中この本でパスタを作って季節の味わいを楽しんでいます。萬田さんとコンビで写真事務所「カワウソ」を営む大沼ショージさんの静謐で美しい料理写真も目で味わえる一冊です。
📖ぜひ感想をお寄せください。お待ちしております!
後記、はじめまして
元はクリーニング屋さんだったという建物には随所にその名残が残っていて歴史を感じます。取材当日は隣町の古本屋さんの店主の方や、フリーペーパーの編集をしている方などが訪れていて、まさに本を通じて人が集まる”場所”でした。寒い中、ストーブを囲って飲ませていただいたクラフトビールの美味さよ!!最高でした!