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Retrospective Cycleをつくってみたよ。 - ふりかえりをより良くするために

この記事は、
Engineering Manager Advent Calendar 2020
の12日目の記事です。

こんにちわ。
普段はメルカリでEngineerの組織開発なんかを行っています。これまではBackend EngineerやEMをやったり採用もやってきました。

そして最近は、格闘技Youtubeにハマっています。
楽しみすぎて大晦日 RIZIN 26の観戦チケットを申し込んでしまったアカウント:tweeeetyです。

今回は`Retrospective Cycle`について書きます。

 TL;DL/ 

ふりかえりやRetrospective、みなさんやってますか?
この`Retrospective Cycle`は、勝手に名付けた名前です。
かんたんに言うと「Retrospectiveをロングスパンで設計し、より意味のある持続可能なモノにする」ことを目的につくってみました。

こんなイメージのものです。

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上記のCircle of QuestionsWARPShooting StarMovie Critic はそれぞれが「KPT」のような「ふりかえり/Retrospectiveの手法の名前」です。つまり、四半期などのロングスパンのふりかえりを事前に計画して刷新してみた、というものです。

そこで、この記事ではRetrospective Cycleをつくるにあたり、以下のことを書いていきたいと思います。

- なぜつくったか
- どういう観点で作ったか
- どういうことをしているか
- つくって実施してみてのふりかえり

また、記事中の"Retrospective"と"ふりかえり"は同義として読んで下さい。

 /TL;DL 

それでは、`Retrospective Cycle`についての本題です。
目次は以下です。

1. なぜつくったか

なぜつくったかをひとことで言うと
「Retrospectiveを長期的に継続して意味のあるものにしたい」
ということにつきます。

 1.1. ふりかえりの課題感

しかし、ふりかえり、実施してみると地味に難しいですよね。
以前、継続してKPTを行う上でこんな課題感をもっていました。

# 課題感
KPT個別:
- Problemが多くなりやすくネガティブ面にフォーカスしがち
- すべてにTryをつけて実践されないことが多い

ふりかえり全体:
- KPTなど同じふりかえりばかりやっていてもなぁなぁになる
- 新たなふりかえりを行うにも学習コストや準備がわりと多い
- 経験の浅いメンバーに任せても課題感を把握していないし実践しないとわかりずらい

課題感のまとめ:
「続けてもなんだかなー感があり、続けるモチベーションがわかない」

記載のとおり、「なんだかなー感がありモチベーションがわかない」というモヤモヤがありました。そこで、まずは抽象的にぼやっと考えるのではなくKPTなどの具体で考えて課題感を言語化することにしました。

具体的には、課題のスタートを「KPTを永遠やる未来が見えない」という言葉におきかえてなぜなぜ分析を行いました。

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補足ですが、TryやNext Actionがある場合、「実行可能か」「追跡可能か」は大切です。ただ、前提として「かならずTryがあるふりかえりでなくても良いのでは?」というのがぼくの所感であり、まずは「チームやメンバーで気付きを得る習慣をつくりたい」というはじめの一歩を大切にしたいという想いがあります。

 1.2. あたらしいふりかえりの観点

なぜなぜ分析から、本質的な"なぜ"は掘り下げ、付随するモノは横に改善案を考えました。たとえば「KPTはネガティブ要素が多く効果が微妙だから」であれば、本質的な"なぜ"は「効果が微妙」であり、付随するモノは「ネガティブ要素が多い」という感じです。

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ここで挙げた「観点」を取り入れることで新たなふりかえりをロングスパンで設計しました。

新たなふりかえりでは、以下のことをめざします。

めざすもの:
1. 新たなふりかえりを導入しチームでも学習する
2. 初回の学習や準備は課題感をもっている自分が行う
3. 3ヶ月ごとなどのロングスパンで行う前提のサイクルを設計する
4. サイクルをN周まわして整え仕組み化する
5. その間にメンバーに学習してもらい、雰囲気をおぼえてもらう
6. 最終的に、誰もがアセットのコピペでコスト少なく実施できるレベルに仕上げる

上記の"アセット"は以下を想定しています。

アセット:
- アジェンダ
- RetrospectiveのOnlineボード
- ファシリのやり方

これをもとに作ったものがふりかえりCycleです。

2. あらたな観点とは?

ここでは、`めざすもの:`に記載した「3. まずは、3ヶ月ごとなどのロングスパンのサイクルを設計する」について記載します。

ロングスパンのサイクルを設計するモチベーションは課題感以外にもあります。

モチベーション:
- Retrospectiveは定点観測的なhealth checkにもしたい
- 四半期のはじめ/なか/おわりで行うRetrospectiveに"そこで行う意味"をもたせたい
- 新たなふりかえり手法をためしたい学習したい
- 最終的に、チームにあったRetrospectiveのリズムを作りたい

これをもとに設計したサイクルが以下です。

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「チームにあったRetrospective Cycleとリズム」良い響きですね。(自分で言うな感)

今回は、四半期=3ヶ月で1周する流れを意識しています。
具体的には以下の流れです。

四半期はじめ:
- チーム内で、OKRや目標設定を共有しあえるふりかえりにする

四半期なか:
- 期初に立てたOKRや目標設定をふりかえる
- 期中でのチームやメンバーのヘルスチェックを行う

四半期おわり:
- 四半期を通して、ロングスパンのふりかえりを行い総括する
- Self-AssessmentやPeer Reviewに役立てる
- 次の目標設定に役立てる

3. どんなことをしているか

`Retrospective Cycle`の各ポイントでは、どんなことをしているのかをご紹介します。

前提として、広義のRetrospectiveそのもののWhyは2つあります。
1. チームをもっとうまくできるようにする
2. 立ち止まって考える機会を作る

次の項でご紹介する各RetrospectiveのWhy/What/Howは以下のような定義で書いています。

Why/なぜやるか:
なぜそのRetrospectiveをやるか/そのRetrospectiveを選んだ目的

What/なにやるか:
どんな観点でやるか

How/どうやるか:
どういう方法でやるか

 3.1. Circle of Questions

`Circle of Questions`は、`質問の輪`とも呼ばれています。
チームで輪を作りインタビュー形式でチームを知るふりかえりです。

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期初に行うことで、
"未来に向けて、Project, OKRで「今期は何やるか」を知る"
ために実施しました。

具体的なやり方は以下をご参照ください。

 3.2. WARP

`WARP`は、プロジェクトを各メンバー視点からどう感じてるかや、メンバーの心の声を引きだすふりかえりです。
リモートでコミュニケーションが希薄になりがちな時にも良いです。

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期初から1ヶ月ほどしての早い段階で行うことで、
"1ヶ月弱のチームやメンバーのHealth Checkをおこなう"
ために実施しました。

具体的なやり方は以下をご参照ください。

 3.3. Something

これは、`Something`という名のRetrospectiveではなく、任意のものという意味で置いています。

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あらたなふりかえりを試してみる機会も良いですし、運用コストを抑えるために既出のKPTやFDNあたり実施することもあります。

ファンダンラーン(FDL)の具体的なやり方は以下をご参照ください。

 3.4. Shooting Star

`Shooting Star`は、続ける/もっとやる/減らす/止める/始めるなどタスクの棚卸しにフォーカスしたふりかえりです。

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期中に行うことで
"残り1ヶ月、当初の目標に近づけるために必要なアクションを考える"
ために実施しました。

具体的なやり方は以下をご参照ください。

ちなみにこの記事は、noteさんから「#これからの仕事術」投稿コンテストで「LAVIE Pro Mobile賞」をいただきました。

 3.5. Movie Critic

`Movie Critic`は、ふりかえり期間を"ひとつの映画"と見立てて評論を行うふりかえりです。四半期というロングスパンをふりかえるため、timelineふりかえりも併用しています。

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期末に行うことで
"ロングスパンのふりかえりをおこない、四半期を総括する。次の目標設定に役立てる"
ために実施しました。

具体的なやり方は以下をご参照ください。

 3.6. Retrospectiveの洞察まとめ

各Retrospectiveは、「どんな洞察に導きたいか」「どんな洞察をしたいか」によってファシリテートを変えることも可能です。

そこで、今回のRetrospectiveの洞察をマッピングしてみました。
このマッピングに応じてアジェンダやファシリテートして実施しています。

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この例でいうと、
FDLは感情/雰囲気を知るために、Shooting Starはチーム/プロジェクトの状況把握から今やっていることの棚卸しをするようにファシリテートしています。

ぜひみなさんも、Retrospectiveやふりかえりを行う目的を再考するときに考えてみてください。

 3.7. Retrospectiveの用意とアジェンダ

まず用意ですが、リモートでのオンライン想定でおこなっています。
そのため、事前に以下の用意を行っています。

# 用意するもの
Google Docs:
Google Docsは、アジェンダや説明を記載し、進行の補助に利用しています。

Google Meets:
Google Meetsは、オンライン会議のツールです。
zoomでも代用可能です。画面がシェアできれば何でも良いでしょう。

Google Jamboard:
Google Jamboardは、ホワイトボード代わりに利用します。
各Retrospectiveのボードは事前に描いて共有します。

次にアジェンダです。毎回以下のフォーマットで行っています。

アジェンダ:
- 05min: 前回のふりかえりのふりかえり
- 05min: 今日のふりかえり説明
- 15min: 今日のふりかえり実施
- 05min: 今日のふりかえりのふりかえり

※ 上記は30minのショートバージョンです。
※ 60/120minの場合は、適宜変更します。

4. Retrospective Cycleのふりかえり

最初からキレイには回らなくとも、慣れてくるにつれてだんだんと上手く回るようになっていきます。`慣れる`はファシリテータとしての自分の慣れ、ともに実施するメンバーの慣れの双方があります。慣れて上手く周りだすと時間が短くとも同じことができるようになってきます。

Retrospective Cycleはすでに3周実施しました。
つまり、四半期 x 3回です。

そこで、最後にこれまでの実施をふりかえってのメンバーの声と現状に対してのふりかえりを記載して締めたいと思います。

# メンバーの声
- OKRやプロジェクトの背景が知れてよかった
- "ねがい"や"感謝"という気持ちの面が聞けてよかった
- 書き出すと思ったよりDeliverしたDoneしたという成果が見れて気持ちが高まった
- 状態を天気で表すことで面白くてわかりやすかった
- なぜその天気か数値かを話すことでお互いの理解が深まった
- 天気や数値で表すことをきっかけに、お互いの現況や雑談を聞けるのが良かった
- タスク確認だけでなくそれに対しての各人の考えが聞けて良い
- ロングスパンのふりかえり良い。色々やってきたこと、バランス、成果やそれに対しての考えが共有できた

# ふりかえり
良かったこと:
- タスクだけでなくチームの感情や状態を知るの大事
- チームにRetrospective文化が根付いてきた
- チームとしてのRetrospectiveの形や仕組みが整ってきた

できていないこと:
- より仕組み化をしてチームメンバーで回せる状態はもう一歩…かな

改善したいこと:
- Next Actionがある場合、もう少しトラッキング&グリップしていきたい
- Jiraなどのタスク管理プロセスと連動させると良いかも

おわりに

各Retrospectiveのnoteは、この記事を書く想定でちまちま書いていました。わりと時間がかかってしまいもっと早く出したかったのですがこの時期にズレこみアドベントカレンダーとして出してみました。(ダメなやつw)

この一年、いろいろなことをしましたが、そのうちのひとつを形に残せたことは良かったです。

もし、「こんなRetrospective良いよ」といった情報や、「ここどうやってるの?」などありましたら気軽にお声がけください!😊

余談ですが、Engineering Manager Meetupもまた開催したいですね。2020年、もう一度くらい開催したかった。(引き継いだ当初はコロナ禍ではなかったのでもう少し気軽に頻度高くやりたかったのですがリモートで準備がわりと大変に…という言い訳をさせてくださいmm)

ということで、年明け少ししたらやってきたい!

以上、Retrospective Cycleのnoteでした。それでは良い年末を!

参考:
- リモートでチームのふりかえりに`Circle of Questions`をやってみた
リモートでチームふりかえりに`WARP`というRetrospectiveをやってみた
リモートでのチームふりかえりに`ファンダンラーン(FDL)`をやってみた
- リモートでのチームふりかえりに`Shooting Star`をやってみた
- リモートでチームのふりかえりに`Movie Critic`をやってみた
- Effective Retrospective

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