なぜ新潟の「潟」の略字が「氵与」ではなく「氵写」なのか?
◎日本で一番書きづらい県名の1位が新潟らしい、ハードルは「潟」の字(某ネットニュースより)。因みに2位が愛媛というのは何となく分かる。媛なんて他に日常で書かないから。
そして本題は、今も地元新潟では「潟」の略字としての「氵写」が僅かに残っているという話。これは方言文字とでも言えようか、現地では昔は駅や道路標識など公共の看板にもあちこちで使用されていたらしく、手書きが主流の時代、地元の方も画数を省略して「氵写」とよく書いていたそうだ。筆者も高速バスを取材した古い記事で行先表示に使われたこの文字を見たことがある。
ここで疑問なのは、「潟」の文字構成は見ての通り「さんずい+舄」であるにも拘らず、右側のつくりは舄の略字(※)である「与」ではなく、わざわざ冖(わかんむり)の付いた「写」が用いられたのは何故か?という疑問だ。
(※)写真の旧字体が寫真であることから
このことを疑問に思った人がやはり居て、ネットの質問箱に問うと、新潟在住者からの回答は「氵に写」とは書いても、「氵に与」とは書かないし、見たことないとの回答で、使い手からの納得のいくロジックは得られていない。
東アジア漢字文化圏の変遷から理解する
ことばや文字、特に表意文字である漢字というのは、東アジア漢字圏において各国の歴史と共に歩み、時には意味を変えて定着した。その中で、国字が生まれたり、政治的に簡体字が生まれたり、逆に周辺のベトナムや北朝鮮では全廃、韓国でもほぼ廃れたり(しかし、いずれの国も言語の構成要素は漢字由来が日本より多い)と、興味は尽きない。
そう思えば、日本の一地方で前述の「潟」略字が機械的に「氵与」とはならないのも、独自の背景と経緯があってのことと思う。
とはいえ気になった筆者は今、このモヤモヤを言語化し、寝る時間を割いてこの疑問を世に問う次第だが、上記の言いたいことがお分かり頂けただろうか?
ーーー関連記事ーーー
(以下随時追記)