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【読書メモ】『ルネサンスの女たち』(著:塩野七生)

イスラエル軍による攻撃が続くパレスチナ自治区ガザの情勢について「弾を撃ち合い、憎しみが堆積している当事者間だけで解決するのは難しい。(米国など)外部の国家が介入すべきだ」と語った。

さらに「平和のためには軍事力が必要。勝ち負けが付いた後に、勝った方が譲ることが重要だ」とも述べた。

出典:「文化勲章の塩野七生さん、ガザ情勢語る「外部の国家が介入すべき」
「平和には軍事力が必要」」
(『産経新聞』2023年11月10日)

塩野さんの代表作といえば『ローマ人の物語』ですが、デビュー作はルネサンス時代の女性たちを題材にした『ルネサンスの女たち』、短編集扱いでいいのかな。私自身は学生の頃に古本屋でみつけた中公文庫版がお初で、今は新潮文庫版も手元に置いてあります、確か。

なお新潮文庫版は2012年発行ですが元々の中公文庫版1969年発行、もう50年以上も昔の一冊になりますが決して古臭さはないよなぁ、と今でも。

「デビュー作にはすべてがつまっている」とはよく言ったもので、史料にただ溺れることもなく、人の営みとそこから紡ぎだされてくる歴史の物語が魅力的に描き出されています。

女を書くことは、結果として歴史の真実に迫ることになる。

出典:『ルネサンスの女たち』

本作は15世紀から16世紀にかけてのルネサンスを生きた、4人の女性をとりあげています。彼女たちを描くことで、その周辺で歴史では「主役」となった男たちも自然と描き出されています、物語での脇役として(個人的には真実としているのはなかなかに興味深く)。

イザベッラ・デステ:夢もなく、怖れもなく
ルクレツィア・ボルジア:皇帝か、無か
カテリーナ・スフォルツァ:イタリアの女傑
カテリーナ・コルネール:まずはヴェネツィア人、その次にキリスト教者

面白いのは、彼女たちの垣間見える性格も成したことも全く違うにも関わらず、どこか感性的な共通点を感じるところでしょうか。

女は男の被害者とはかぎっていない、と思っている

出典:『ルネサンスの女たち』

男性だから、女性だから、との区別に依存することなく、あくまで一個の人としての在り様をみつめている、そこが塩野さんらしいといえばらしい、自然と背筋が伸びるような物語だと思います。

人は愚かでもあり強かでもあり、そして運命の前には無力でもある。それでも営みは続いていて、この先も続いていく、それがまた愛おしくてしょうがない、なんて風にも。

ご本人は冒頭で「若書き」なんて諧謔を込めていますが、こうも仰っています、「若さゆえの未熟にも、良いところがある」と。そろそろローマ人再読を再開しよう、、年内に10巻まで行けるかなぁ。

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