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【読書メモ】『走れ!移動図書館:本でよりそう復興支援』(著:鎌倉幸子)

◆被災した図書館へ支援を考えている皆様へ(お願い)
 日本図書館協会ではこれまでにも、大規模災害の被災地支援に取り組んでまいりました。その中で得られた教訓をもとに、被災した図書館への支援を考えてくださる皆様へ以下3点をお願いしたいと考えています。

(1)被災地へ本を送ることはやめましょう
(2)被災地への問い合わせは控えましょう
(3)被災地への関心を持ち、できる支援につなげましょう

出典:「JLAメールマガジン 第1165号・臨時号」
(「日本図書館協会HP」より抜粋 / 2024年1月9日)

少し前(1月9日付)になりますが、今回の能登半島地震に際して、日本図書館協会から出された内容となります。特に、、

特に避難所に直接本などを送るのはやめましょう。
置き場所に困る、読書ニーズのミスマッチなど、東日本大震災をはじめ多くの災害でこれまで課題となりました。
被災地から要請が出てくるまでは、本を送らないようにしましょう。

出典:「JLAメールマガジン 第1165号・臨時号」
(「日本図書館協会HP」より抜粋 / 2024年1月9日)

なんてくだりを見て思い出したのが『走れ!移動図書館:本でよりそう復興支援』との一冊。

タイトルにもある移動図書館、利用されたことがある方はおられるでしょうか。私も子どものころに何度か見た記憶はありますが、利用自体はあまりしなかったような。それでも、車いっぱいに積まれた本のイメージは鮮明に残っています、ワクワクした気持ちと一緒に。

(東日本大震災という)こんな時だから、今、出会う本が子どもたちの一生の支えになる

出典:『走れ!移動図書館:本でよりそう復興支援』

そんな移動図書館を駆って、2011年の東日本大震災の際に復興支援のために岩手を走り回っていた、とあるボランティア活動を追いかけた記録となります。

救援物資を第二の災害にしてはならない

出典:『走れ!移動図書館:本でよりそう復興支援』

東日本大震災後、「本」のニーズの萌芽は4月を過ぎてから、その後も綿密な下準備を続けて、2011年6月6日から「本の力」を信じてプロジェクトはスタートしました。本書で取り上げられているのは「シャンティ」というNGO団体。それまでもカンボジアやタイなどで、文化教育に関連する難民支援の活動を行っていた団体で、曹洞宗がベースにあるようです(東北での支援活動は2018年でクローズしています)。

ボランティアやスタッフは「触媒」であり、「主人公」ではありません。

ボランティアがもてはやされると「自分が主人公」と勘違いをし、自分に酔ってしまう人も現れるかもしれません。

出典:『走れ!移動図書館:本でよりそう復興支援』

主役はあくまで、現地で生きていく人々。かりそめの客であるボランティアは、あくまで地元の力を底上げし、再起、自立していくための支援に徹するべきだろうとの、考え方でしょうか、徹底されています。

311当時、強い想いをもって現地入りしても、食事や寝る場所などを考慮しておらず、反対に地元に迷惑をかけてしまった、との話はよく聞きました。こんな風に救援が二次災害になってしまうのでは本末転倒でしょう、、そのことを、説得力のある言葉で伝えてくれています(今回の能登半島地震でも、どこぞの炊き出しに集るような歩く○○鶴な連中の耳の穴にも叩き込んでやりたいと、小一時間)。

本は、人と人とをつなぎます。

出典:『走れ!移動図書館:本でよりそう復興支援』

一見すると衣食住とは無関係にも思える「本」、そんな時でも人はどうして本を求めていくのでしょうか。「人とのつながりを求めて」「感情に溺れるために」「いまを忘れるために」「亡き人を思いだすために」「現実に戻るために」、そいて「いまを切り開くために」などなど、、人それぞれです。それだけ多彩な理由で人はを必要とするのだと、あらためて。

読んだ本の記憶は残ります。だから図書館員として本を届けていきたいのです。

出典:『走れ!移動図書館:本でよりそう復興支援』

人々に本を届けるということについてあらためて考えさせられたのを思い出しました、私がどうかかわっていきたいのかとの点も含めて、、そんな一冊です。

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