【読書メモ】『パノラマ島綺譚』(著:江戸川乱歩 / 丸尾末広)
江戸川乱歩さん、生まれは三重、育ちは名古屋といった感じだったんですね。池袋が終の棲家とは聞いた覚えがありましたが、意外なところで実家の名前を耳にしました。
江戸川さんというと「少年探偵団」のシリーズが思い出されますが、今回思い出したのは、江戸川乱歩×丸尾末広とのコラボによる『パノラマ島綺譚』、なんともレトロで退廃的な雰囲気の一冊になります。
主人公は、うだつの上がらない小説家・人見広介、そんな彼が、学生時代の友人とすり替わるところから物語が始まります。
といっても、すり替わりのきっかけは友人の死、その目的は友人の財産と、なんとも破滅的な内容です。すり替わった後も、事業家であった友人の後を継ぐわけでもなく、自分の妄想を“大人の遊園地”として実現しようとします。
その目論見は一見、成功したかのようにも見えますが、、ラスト、明智小五郎がの登場でそれも潰えてしまいます。潰えた彼は、どうなるのでしょうか、といったところ。
それにしても江戸川乱歩の頭の中はどうなっているのか、そしてまた、彼の退廃的な描写を絵に描き出す丸尾末広さんの筆致もさすがだなぁ、と。いくつか出ていたはずですが、『芋虫』もあったかな、、探してみよう。