在庫の話⑩ 変わる平均、見えない回転
いらっしゃいませ。
本日も小売王_マグロ大使のnoteにご来店有難うございます。
今日は在庫の話
👉前回はこちら
***************
今週のポイント(目次)はこちら
「平均」在庫はいつの平均?
前回まで支払うタイミングや支払いサイトによって変わる仕入れの許容範囲についてお話ししましたが、取引立場上の優劣で支払いサイトの綱引きをするのはすでに商売の技術としては古さがでてきています。
公正にお互いに効率的なところで取引を行い、在庫リスクと資金、キャッシュフローは自らの在庫管理の技術でコントロールすべきです。商品回転率の話に戻ってみていきましょう。
商品回転率の基本的な計算は
商品回転率=年間売上高/平均在庫高 です。
一般的には売上高などは月間で見ていますから、
月間売上高/平均在庫高×12(か月)で
年換算した商品回転率を出します。
いずれも平均在庫高とは売上期間に応じたものとなります。年間で直接計算する場合は年間の平均在庫、月間売上で出して年換算するのであれば月間の平均在庫です。
では平均在庫とはどう出すのでしょうか。
現場の会話の中ではざっくりと計算します。
いつも在庫が10個前後になるように発注していて、月に約20個売れるのであれば、(月売数)20÷(平均在庫)10×12(か月)=24回転です。
しかし帳票などで出す場合には、一定の数式で平均在庫を導き出さなければなりません。一般的には(期首在庫高+期末在庫高)÷2 で出します。
期首と期末はいずれも業務開始前、業務終了後の数値です。
例えば8月の期首在庫は8/1の業務開始前で、期末在庫は8/31の業務終了後(=9/1の業務開始前)です。
9月の場合は、9/1の業務開始前(=8/31の業務終了後)と9/30の業務終了後です。
この2点の数値を足して割ったものを平均在庫高にします。
月初と月末の平均です。
見方によって平均は変わる
単純な計算ですので、この平均在庫から商品回転率を出すのが一般的ですが、月末と月初がどちらも在庫が増えやすいタイミングの月は平均在庫も上がります。
例えば1月で月末日が金曜の場合などは、年末商戦から初売り用在庫を仕込んだ状態で迎える1/1と、週末前で同じく在庫満タン状態の1/31を平均しますから、期中の本来の数値よりはやや高めになるでしょう。
月間毎日の業務開始前在庫を全部足して平均を出す方法などもあります。より実態に近くなりますが、この方法で平均在庫高を出す企業はあまり聞きません。
小売業の在庫高は日々刻々と変化していきます。日々の平均を細かく出しても、その日々の中でも時間帯によって在庫は変化し続けています。
いずれにしても実態の平均在庫と乖離する部分はあるので、ここの計算を綿密にしてもそれほど数値分析に影響がなく、単純計算であればこそ多少の上振れ下振れ要因は曜日問題だな、などと判断がつきやすいのです。
また、商品回転率は効率を見るのに便利な数値だと言いましたが、月初(=前月末)と月末時点の在庫で数値を判断するのは、現場感覚と経営感覚がつながりやすい良い面があるのです。
商品仕入れは大抵月締めで、月末日までに仕入れた額を翌月などに支払ったりしますから、月末の在庫高を下げた方が効率数値が上がるとなれば、月末に在庫を絞る感覚が付きます。
月1は在庫をそぐことで、必要在庫に関する感覚を研ぎ澄ませるとともに、支払回転の効率にも好影響がもたらされます。
回転率が見えにくいこともある
月末月初2点の平均高で十分といいましたが、月末月初では在庫数値が参考にならない場合や計算に工夫が必要な場合もあります。
生鮮や日配部門などほぼ毎日仕入れをして、消費期限が短い部門、それから24時間営業です。
24時間の場合、9月の月初在庫は9/1の0:00になるのでしょうか?
0:00の在庫で月末月初の平均をとって、実情の数値に合うのでしょうか。
毎日ほぼ商品を売り切るお弁当売場などは9/1の業務開始前の時点では在庫高は非常に0に近い数値です。ほぼ0とほぼ0の平均、を平均在庫高として分母にして計算した回転率は異常値になるはずです。
売上100万で平均在庫は1,000円など。ここから計算しても
商品回転率12,000回転となります。
こういう異常値をそのまま出している会社もあるようですが、しっかり計算式を工夫している会社もあります。
つづく
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
🍀最後までお読み頂き有難うございます🍀
経験をもとにした、小売業や飲食業など「お店」で働く人たちの役に立つ情報や元気になる話、業界裏話をお届けしています。
このほかの記事もぜひご覧ください!
【○○の話】 一気読みはこちら!
🌏サイトマップ🚀
#小売業 #飲食店 #ビジネス #私の仕事 #職場 #業界あるある #レジ #マニュアル #アルバイト #在庫 #商品回転率