中小企業のDX-01「IoT タグ編」
ども。ならなすおです。
DX体験記、具体論に入らせていただきたいと思います。
初めは、私が中小企業支援センター勤務時に担当させていただいた、IoTを取り上げます。
3部構成で、↓の内容とします。
・タグ編
・センサー編
・カメラ編
私のnoteのDX解説は、「ほぼ初めて読む中小企業さん」向けです。
「データを活用する業務を新しい技術を使って改善していくこと」をDXと定義しています(巷の定義とは異なります。)。
専門的で難易度の高いことは、全く書きません。
既にやっている方々には、簡単すぎたり、「それ、そもそもDXじゃなくね?」と思われたりするかと思いますので、そういう方には離脱をお勧めします。
私自身も、DXの専門家ではないですし、詳しいことはわからないです。
今回のトピックであるIoT(Internet of Things いろんなものをネットに繋ぐ)も、私のイメージは↓です。
最初に取り上げる「タグ」ですが、にわかに「情報をネットに繋いで云々」という話ではないです。
つまり、Internetでは、ないです、、、
よって、IoTじゃないです。
でも、第1回の題材にしました。
中小企業には、高度にIoTを使いこなす前に、やるべき「下地作り」があると思っています。
なので、そっちを先に扱います。
では、いくつかの中小企業さんの状況を見せていただいた経験も踏まえ、「タグ」の使い道を考察していきたいと思います。
本編、スタートです。
(1)ものに情報をくっつける
タグとは、商品に関する情報を記載した札の事です。
服を買うとき、値段やサイズ、材質を確認するやつ、あれがタグです。
商品にくっついている「情報」つまり、データです。
商品などにタグを付けて、コンピュータが読み取れるようにしておくと、後で様々な使い方ができます。
どんな情報を付けるか、いかに安く付けるか、どうやって読み取るか、などを検討して、利用するソリューション(DXサービス)を決めます。
タグのイメージを以下に2つ例示します。
①コンビニ商品のバーコード
読者さんに最初にイメージしていただきたいのは、コンビニの「ピッ」です。
ただ、コンビニの「ピッ」は、インターネットはあんまり関係ないです。
コンビニチェーンでは、情報出荷時に、製造国情報、メーカー情報、商品情報などを「バーコード」に記載しています。
各商品に付随している情報です。
それをレジで「ピッ」とやることで、代金の計算やレシートに記載する情報呼び出しなどをやってくれます。
我々がタグを見て商品の詳細を知るのと同じように、コンピュータは、バーコードから商品の詳細を読み取っています。
②AppleのAirTag
お財布などの大事な持ち物に「僕はここにいる」(山崎まさよしさんの顔が浮かびますが割愛)という情報を付け加えて、紛失を防ぐためのタグが、「AirTag」です。
こっちは情報をリアルタイムにネットワークに乗せている「IoTツール」です。
タグからBluetoothという通信手段を使って信号を出し、他人のiphoneなどを経由(情報は暗号化されているので安全です)して所持者に届け、居場所を知らせる、という製品です。
(2)情報を読み取る
タグに記録された情報は、コンピュータで読み込んで使います。
コンビニで、「ピッ」てやっている瞬間に、その読み取りが行われています。
この場合、ソリューションは「バーコードリーダー」です。
例えば、チョコレートの「アポロ」で考えてみましょう。
(いや、別にアポロじゃなくてもいいんですが)
タグに記載されているのは、
・メーカー
・商品名
・製造日
・価格
などの情報だとします。
(この情報は、あらかじめメーカーが作っているケースもありますし、飲食店のように、自分で作るケースもあります。)
で、「ピッ」とやる瞬間に、以下の情報が付加されます。
・購入日時
・客層(20代男性、とか)
・電子マネーの場合は購入者の詳細な属性
レジの「客層キー」は最近なくなってますね。
(押してるの見られるの、気まずいですもんね)
電子マネーの情報は、電子マネー業者が持っているので、店舗では入手できないケースが多いです。
以上から、「ピッ」がされたことで、店舗のコンピュータに、以下の情報が記録されます。
・いつ
・何が
・誰に
・何と一緒に
買われたか。
これらの情報が、経営に役立つわけです。
(3)情報を経営に活かす
タグ情報とその他情報を記録したデータを保有し、経営に使うイメージを下記します。
①例えば売場
タグをピッとやった事で得られる情報を、最大限に活用します。
何月ですか?
何曜日ですか?
夜ですか?
その日の天気はどうでしたか?
(天気は別に記録が必要)
何と一緒に売れましたか?
売れた結果、現在の売場在庫は何個ですか?
(仕入れしなくて大丈夫ですか?)
それらを、「販売データ」「在庫データ」として蓄積します。
データがある程度貯まったら、分析します。
そうすることで、もしかすると、「七夕の夜はアポロが売れる」とかいう分析結果が得られるかも知れません。
分析の結果は「販売キャンペーン」や「仕入の最適化」につなげます。
売上アップ、最適在庫、売切による販売機会ロスの防止 などの効果が期待されます。
②例えば在庫
倉庫の場合は、売り場でピッとはちょっと違いますが、仕入れた段ボール単位でタグを付けておいたりすると、便利です。
・賞味期限、大丈夫?
・先に仕入れたものから使えてる?
・在庫は足りてる?
・在庫多過ぎない?
・出荷されそうな順番で並んでる?
(4)終わりに
タグは、ユビレジ、スマレジなどのサービスや、PayPayなどの決済端末の普及で、一昔前よりは使われるようになっています。
しかしながら、地方の小売店、飲食店などでは、まだまだ導入が進んでなく、データが活用されているとはいいがたい状況です。
なぜ、導入が進まないかという理由ですが、私は2つあると思います。
①高いというイメージ
何か知らない間に出費だけ増えていくようなイメージがあるのかも知れません。
データを経営に使い、売上を上げてコストを下げることができれば、その出費は回収できます。
その「費用対効果分析」がないので、高いというイメージだけが先行します。
②商品データの初期登録が面倒
飲食店などでは、自社のメニューや値段などを、最初にシステムに登録しないといけません(タグの作成作業)。
これが結構めんどくさいです。
ここを安価に手伝うサービスが出てくれば、もっと普及は進むのかも知れません。
IoTに限らずDX全般に言えることだと思いますが、これからの時代、最も重要なのは、「データを持っていること」です。
ここを外注(ノートに付けた販売台帳をテキストに起こしたり、古いファイルの形式を新しいものに変えたり)しようとすると、初手からめっちゃお金を取られます。
中小企業さんの現場にお邪魔すると、データが整理されていないケースがほとんどです。
しかし、多く場合、データは、あります。
「使いやすい形で持っていないだけ」です。
それを使いやすい形に変換できさえすれば、分析や活用は比較的簡単です。
「現場にある情報を、いかにDXに使える形に変換するか」という問題を、なるべくお金をかけずに、負担をかけずにクリアしたい。
これが中小企業にDXの恩恵を届けるための大きな課題の一つかな、と思っています。
今回説明したタグも、情報をなるべく安く「見える化」する方法です。
「ネットじゃないよね?」というご指摘はごもっともですが、中小企業さんがクリアしないといけない問題は、おそらくその手前です。
充実したシステムやソリューションを売る前に、その前段となる「情報の見える化」を手伝うサービスがあれば、、、
もう少し、地方にも、中小企業にも、DXが進むんじゃないのかな、と思います。
「中小企業のホームドクター」たる中小企業診断士が、中小企業さんと一緒に悩み、解決方を模索していくべきテーマだと思います。
ご覧いただき、ありがとうございました。