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在庫の話⑦ 仕入れる限度を考える

いらっしゃいませ。
本日も小売王_マグロ大使のnoteにご来店有難うございます。
日曜は在庫の話。

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荒利70%の特別原価につられて
半年分の在庫を仕入れた彼が落ちた罠とは
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損益は「時間」を見ていない

当然「荒利」だけを切り取ると儲かっているように見えます。
売価100万円分の商品を原価30万円で仕入れれば、荒利益は70万円です。
荒利とはその他の費用や支払いは全く考慮されていない数値です。

しかしここで更に問題とすべきは「時間」です。
時の流れがないある一点を切り取ったものが利益など
部門別管理表や売上日計表、損益計算書にあらわされる数字です。

30万で仕入れてきて100万円で売れる。
いつ支払うのか?
仕入れてきた商品は支払日にいくらの現金に代わっているのか?

実際にこれを半年で売るとなると、1か月の売上は約17万円、仕入れ以外にも支払う費用がありますから、翌月末の仕入れ代の支払い30万円には到底足りません。

借金をして仕入れ代を支払うことになります。これを目先の荒利70%に浮かれて、倉庫を埋めて作業効率を低下させてまで仕入れるべきかは非常に疑問ですし、これは「儲かった」と言えるでしょうか。

ガソリンやタバコが値上がりする、と聞いてまとめ買いする方がいますが、「どうせ使うから」と借金をしてまで半年分買い込む人はさすがにいません。しかし店舗現場ではこれがしばしば行われているのです。

在庫を数値で、「論理的に」理解していないと、
こんなに原始的な罠に落ちてしまいます。

ではどのくらい仕入れていいのか

もちろん全体調和がとれる中では、特定の品目を戦略的に在庫を抱え込むことはあります。
しかし支払いが回る最低限の回転率はクリアしておかなければいけません。

少なくとも、商品面だけで言えば
一般的な支払いサイクルである、月末締めの翌月末払いに間に合う程度の金額が、仕入れ金額の上限枠になります。

少し細かく計算すると、
1~30日に仕入れたものを翌月30日に支払うのですから、
支払いまでのリードタイムは31~60日、平均して45日です。

平均して45日後には売上=現金に代わってないといけないのですから、
持っていいのは在庫日数45日(=1.5か月分)となります。
商品回転率に直すと8回転です。

とはいえ、様々な要因で数字はぶれますから、
ざっくり計算してみましょう。
翌月末に支払うんだから、ざっくり1か月後には現金化できる在庫

つまり、在庫日数1か月、
商品回転率では12回転、月に1回転です。

支払いまでにと言いましたが、ここで考えていた数字は
「営業利益」に当たる数字から計算しています。
営業利益が+-とんとんの場合の話です。

売上高ー仕入原価=荒利益高
(=粗利益高=売上総利益)からさらに
販管費を引いた金額=営業利益が売上比で+ー数%

つまり、売上高で
仕入れ代金と経費の支払いがちょうど賄えるくらいなら
月1回転、年間12回転でちょうど支払いが回っていきます。

荒利益率でも変化する

仕入の支払いだけが回るかどうかを見るのであれば
荒利益率も関係してきます。

荒利益率が30%ならば、原価率は70%ですから
1か月後に70%が売上(現金)に変わっていれば
支払いは回るということになります。

在庫日数で30日/70%=42.9日分
商品回転率で8.5回転

同じように、荒利益率が60%なら
1か月後に40%が売れていればいい。

在庫日数で30日/40%=75日分
商品回転率で4.9回転です。

つまり荒利が高ければ
回転率は低くても(在庫日数が長くても)いいということになります。

交叉比率という数字がこれを計算で求める数字で
荒利益率×商品回転率で出します。
これは別の機会にお話しします。

つづく

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