浦和レッズを劇的勝利に導いた「15年前の死闘」の記憶 (2022 ACL準決勝観戦記)
ウラワレッズー
ウラワレッズー
プライド オブ ウラワレッズ!
延長後半、残り4分。
全北現代に失点を許した絶体絶命の瞬間、勝負を賭ける応援歌がスタジアムに鳴り響いた。
アジアチャンピオンズリーグのノックアウトステージ準決勝 全北現代vs浦和レッズ。
東地区の代表を決めるための最重要な試合だ。
試合は90分を終えて、同点。
延長戦へ入る。
1点を争う激しい攻防が続いていた。
しかし…
延長後半11分、全北にゴールを許してしまう。
あまりにも痛い失点だった。
疲労もピークの時間での失点。
選手もサポーターも気落ちし、集中を切らしてもおかしくない、そんな状況だ。
ところが…
浦和レッズのサポーターは、まったく諦めていなかった。
失点した瞬間、なんとPRIDE OF URAWAを歌い出したのだ。この歌は、勝負をかける時や勝利を確信した時に歌われる特別な歌。
この状況の中、スタジアムにいるサポーター全員が勝利を諦めていなかったのだ。
スタジアムを包んだその熱気は選手の気持ちを奮い立たせ、最後まで戦いを諦めない強力なチカラとなった。
そして奇跡が起こった。
延長後半15分、試合終了ギリギリのところで劇的な同点ゴール!
スタジアム中のサポーターの想いがボールに乗り移ったような、気持ちで押し込んだゴールだった。
うぉぉぉぉ
スタジアムの熱狂は最高潮に上がった。
試合は、120分間の死闘を経てPK戦となった。
ここでサポーターの中である動きが起こった。
延長後半が終了しPK戦の突入が決まったと同時に、スタジアム中の大旗がPK戦を行うゴールポストの裏に集結していったのだ。
この動きは決してクラブが主導しているわけでもなく、サポーターの中にこれを主導している人がいるわけでもなかった。
浦和レッズのサポーターの共通認識として、勝負を決めるPK戦になったらこういう動きをするぞということが根付いていたことから、起こったことだった。当たり前のように短い時間の中で、それぞれが意識して行動したものだった。
自分の周りの席でも、大旗がゴール裏に向かって動いていくと、周りが拍手をしたり「頼んだぞ」と言って送り出していた。
その大旗が作り出すゴールポストを飲み込むような波は、まさに意志を持った生き物みたいだった。
PKを蹴る相手の選手にとっては、赤い悪魔に見えたかもしれない。
さらには、スタンドから湧き起こる大きなブーイングやタオルまわし。サポーターの全員が勝利のためにできることを行っていたのだ。
【2022ACL準決勝 全北現代vs浦和レッズPK戦】
(この時の動画を後半部分だけでもいいから見てほしい)
相手の選手が蹴る時には大ブーイング。
浦和レッズの選手が蹴る時には、シーンと静まり、集中できる雰囲気にする。
これを、スタジアムにいるサポーターたちが自然と行なっていた。
世界広しと言えども、PK戦でこれだけのプレッシャーを相手に与えられるスタジアムはあるだろうか。
実は、浦和レッズのサポーターたちがこの動きができた要因がある。
それは、サポーターたちの記憶の中に残り、受け継がれている15年前の試合にある。
【2007ACL準決勝 浦和レッズvs城南一和PK戦】
2007年のアジアチャンピオンズリーグ準決勝。
相手は今回と同じく韓国のチャンピオンチームであった城南一和。
試合はホーム&アウェイの試合でも決着がつかず延長戦へ。そしてそれでも決着がつかずPK戦に入った。この時にスタジアム中のサポーターが協力してゴール裏に大旗が集結させて、PK戦を勝ち抜いたのだ。
この試合は浦和レッズ史に残るものであり、サポーターの中で語り継がれていった。
今回のシチュエーションは、この15年前とまったく同じだった。15年前に参戦していたサポーターはその時の記憶を呼び戻し、この時を知らないサポーターも動画や周りからの伝承でこの試合のことを知っていたのだ。
だから、スタジアム中が自然とその動きができるようになったのだ。
この雰囲気ならば、絶対に負ける気がしない。
この圧倒的なホームによって浦和レッズは、PK戦を制した。
浦和レッズにとって、4回目のアジアチャンピオンズリーグ決勝戦への出場が決まった。
(決勝戦は来年2月に行われる。また、リポートをしたいと思う)
最後まで走り抜いた選手の頑張りも素晴らしかった。さらには、スタッフやサポーター、ボールボーイなど全員が心をひとつにして掴み取った勝利だった。
アジアチャンピオンズリーグに賭けるクラブの想い。それがカタチになった夜だった。
そしてそこには、自分が追い求めていた熱狂のスタジアムの姿があった。
本当にありがとう。
みんな、お疲れさま。
次も勝とう!
(今回は応援に熱中しすぎて、写真をほとんど撮っていませんでした笑)
このマガジンでは、ファンやサポーターの熱量を高め熱狂のスタジアムを作っていくことを書いています。
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