マガジンのカバー画像

とにかくひたすら映画について語る vol.3

131
映画関連noteが200に到達したので、新たにマガジンを作りました。
運営しているクリエイター

2018年6月の記事一覧

君ならどうするか、が問われまくる映画。

君ならどうするか、が問われまくる映画。

「ザ・スクエア 思いやりの聖域」

この映画で、タイトルにもなっている、アート作品「スクエア」は実はそこまで意味を成さない(と私は感じた)。

要は、前衛的な(この言葉が相応しいかどうかも少し考え込む)現代美術館のチーフキュレーター、クリスティアンの周りで起きた出来事の数々が、お前ならどうする? 何が正しいのか? そうでないのか?を突きつけてくるストーリーで、それらが「スクエア」にそのような類いの

もっとみる
12人もすごいけど、ドスタム将軍が気になりすぎて。

12人もすごいけど、ドスタム将軍が気になりすぎて。

「ホース・ソルジャー」

911のテロ直後、米軍がタリバンを倒すために、アフガニスタンへ行って、 特殊部隊が、その要衝に攻め入ろうとする話…

って書いたら、米軍の強さは計り知れず、チョロいよな、あ、またかって思われるかもしれませんが、なにが、なにが。

実地経験のない部隊(しかもわずか12人)が、現地の北部同盟の将軍と手を組むところから始まり、騎馬経験もないのに、馬に乗り、タリバン派が潜む要塞へ

もっとみる
お隣の国がそうだった時、私たちは何をしてた?

お隣の国がそうだった時、私たちは何をしてた?

「タクシー運転手 約束は海を越えて」

一見コメディかと思いきや、めちゃくちゃシリアスなテーマを扱っているのがこちら。

前のレビューでは、シリアスなイラン・イラク戦争がテーマの「遺灰の顔」が実はコメディだったので、今度はその反対。

1980年5月、民主化を求める大規模な学生・民衆デモが起こり、光州では市民を暴徒とみなした軍が厳戒態勢を敷いていた。「通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支

もっとみる
悲しみよりも信仰を優先する人々。

悲しみよりも信仰を優先する人々。

「遺灰の顔」

シリアスなタイトルとは異なり、こちらはコメディです。

時は、イラン・イラク戦争の真っ只中。クルドの人々も、イラク軍として徴兵され、多くが犠牲となりました。そんな中、戦死したとされる遺体が、クルド人自治区のムスリムの一家に戻されるが、その遺体には割礼の痕がなく、取り違えではないか、近所のクリスチャンの家の息子ではないか、いや、ウチの孫も割礼をちゃんとしたっけな、し忘れたとしたら、や

もっとみる
傘と蜜柑に祈りを込めて。

傘と蜜柑に祈りを込めて。

「アブ、アダムの息子」

これはインドのイスラム教徒を描いた映画です。インドというと歌えや踊れのヒンズー教徒メインのボリウッドムービーが大多数ですが、イスラム教徒ももちろんいて。因みに本作品の字幕翻訳は、かの人気作品バーフバリを訳した方と同じ方だそうです。

映画祭の最初に主催者の方が簡単な説明をされていたけど、この映画はインドのケーララ州というところが舞台で、インドでは珍しく、インド共産党が与党

もっとみる
5次元の世界から語りかけること。

5次元の世界から語りかけること。

「インターステラー」

またもや私が絶対選ばない作品を見ることになった。ストーリーもさることながら、日本で「マシュー・マコノヒー」と表記される主人公クーパーを演じる俳優名をネイティブのアメリカ人は「マテ・マコノヘ」と呼んだ(と聞こえた)ことに、びっくらたまげたよ。きっと向こうで一生懸命「マシュー・マコノヒー」と言っても通じないんだろうね。

さて、あらすじはこう。

近未来、地球規模の食糧難と

もっとみる
涙を流すってこういうことなんだ。

涙を流すってこういうことなんだ。

「エクスキューズ・マイ・フレンチ」

このタイトルは英題 "Excuse My French"(=ちょっと言いにくいことなんだけど)をカタカナ表記したものです。原題は同義語のアラビア語です。

映画の中では、公立小に転校したハーニーが、新学期のクラスの自己紹介の際に、親の職業を先生に尋ねられて、各々が口を揃えて、その枕詞を唱えるんです。

「すみませんが、配管工です」

「すみませんが、屑鉄拾いで

もっとみる
女は堪え忍び、そして誰よりも強くなった。

女は堪え忍び、そして誰よりも強くなった。

「ラヤルの三千夜」

イスラーム映画祭というのが、このGWに神戸でありました。

「イスラム」という言葉を聞くと、どうしてもISや少し前だとタリバンだったりの原理主義の悪いイメージ、また中近東付近だけのもの、また最近だとテロのイメージが強いですよね。もちろん、それも間違いではないんですが、もっと多様性に富んでいて、今回の映画でもそれが垣間見れたと思います。不覚にも6本見たうちの2本は、体調の関係も

もっとみる
父が知らず知らずのうちに、成長していたスポ根ムービー。

父が知らず知らずのうちに、成長していたスポ根ムービー。

「ダンガル きっと、つよくなる」

やっとここまできたー。でもレビューまた20本近くためてしまって。上半期で、こんなにレビューためてることもないかも。

ダンガルって何?って感じだと思います。登場人物の名前じゃございません。ヒンズー語(でいいのかな?)で「レスリング」とか他にも色んな意味を持つんだそうです。途中、リズミカルに「ダンガル♪ダンガル♪」と聞こえる音楽があるから、ノリノリで聴いてほしい。

もっとみる