5次元の世界から語りかけること。
「インターステラー」
またもや私が絶対選ばない作品を見ることになった。ストーリーもさることながら、日本で「マシュー・マコノヒー」と表記される主人公クーパーを演じる俳優名をネイティブのアメリカ人は「マテ・マコノヘ」と呼んだ(と聞こえた)ことに、びっくらたまげたよ。きっと向こうで一生懸命「マシュー・マコノヒー」と言っても通じないんだろうね。
さて、あらすじはこう。
近未来、地球規模の食糧難と環境変化によって人類の滅亡のカウントダウンが進んでいた。そんな状況で、あるミッションの遂行者に元エンジニアの男が大抜てきされる。そのミッションとは、宇宙で新たに発見された未開地へ旅立つというものだった。地球に残さねばならない家族と人類滅亡の回避、二つの間で葛藤する男。悩み抜いた果てに、彼は家族に帰還を約束し、前人未到の新天地を目指すことを決意して宇宙船へと乗り込む。(Yahoo!映画より転記)
私は、やっぱり「近未来の世界」がニガテだ。大体そこは荒れ果てた地だったり、無機質で、人類はかつての文明を取り戻すべく、または地球の代替になるような惑星を見つけるべく、未知の世界へと飛び立とうとする。
昔からそうしたものへの想像力が働かない。憧れもない。あまり感情移入もできない。だけど頭はフル回転。何とか解ろうとして、必死になる。「メッセージ」を見た時もそうだった。私にはSFジャンルは、何度挑戦しても理解しがたいのだ。もう宇宙服を着ている人間が出てくるだけで、拒否反応なのだ…。なんか前世であったんじゃないかね、ワタシ。
だけど、今回クーパーが愛する家族を置いて、宇宙へ旅立ってから、この宇宙空間と地球での時間の進み方は異なり、彼は浦島太郎のようになる。愛する者に会いたいのに、あの頃に戻ることはもう出来ない…。そういう家族の物語がSFというジャンルの中で描かれたということは理解できた。
また、大人の教えを守り、わりかしいい子ちゃんの息子トム(ティモシー・シャラメファンは見てね)とは裏腹に、賢すぎて、男勝りのマーフは、誰よりも父に憧れ、父を愛し、また自分を信じて、その道を歩んでいった。賢いが故に、知らなくてもいい事実まで知ってしまったり、悟ってしまったり、彼女の重圧のようなものも感じられる。そんなマーフの大人になってからをジェシカ・チャステインが巧みに演じている。
彼女は幼い頃、「幽霊」から語りかけられていた。彼女はその必死の声を聞き取り、それが結果的にこの星の未来を救うことになる。それは、5次元からの声。
時空のうねりとか隔たりとか、やっぱり私には理解できない。けれど、人は愛する者のために自分をかなぐり捨ててでも守ろうと、語ろうとする。それは、ものすごく理解できた。それは、クーパーだけでなく、同じ飛行士仲間のアメリアもそうだし、アメリアの父ブランド博士もそうだ。そして、本来なら「人間的ではない」TARSのキャラがなかなかイカしてた。
なんだかんだ言って、拒否する前に見てみるものだ。それにしても難解だし、169分という尺の長さだし、これを超面白い!サイコー!何回でも見たい! と言える人はすごいなと思う。私は…できない。それでもいくつかのシーンで泣けた。涙が出た。それは、進歩したのかも、しれない。
2018年39本目。Netflixにて。
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