読書日記|0424-0430
0424 晴れ
木香薔薇と金盞花が満開で、窓からみえる景色は黄色く、心なしか明るいような気もする。私のお腹は痛み、いや、それでも、先週や先々週よりも、随分と良くなっているようで、まあ、元気かと問われれば、元気ではない。隣のステラのPOPがとても可愛くできて嬉しい。働くところで、島田潤一郎『電車のなかで本を読む』、荒川洋治『文庫の読書』を買った。
夜は『モンテレッジォ小さな村の旅する本屋の物語』だった。今、私がこうして本を読んでいることも、なにもかもが奇跡の連なりで、だから、あなたと出会えたことも、それがあたりまえのようになっていることも、時折不満をかんじることも、なにもかもが偶然ではありえないような、という具合で、あまりにも気持ちが昂ったまま、読了してしまう。めちゃくちゃ良い本。
0425 晴れ
仕事をし、家に帰ると、古書善行堂さんから上林暁傑作小説集『孤独先生』が届いていた。半年ほど前にお聞きしていたので、おう、これが、という感動と、あまりにも美しく、かっこいい背表紙に、胸が高鳴る。そして山本さんからのメッセージはいつだって嬉しい。会いたい。元気になりたい。元気になって会いにいきたい。
0426 雨
雨と風の音で目が覚める。寒い。どうにもこうにも眠たくて、そうして午前中が過ぎていく。お昼ご飯に冷やし中華を食べ、気持ちが悪くなっては、料理という料理の匂いを嗅ぎたくなくて、夫に外で食べてきてほしいことを伝え、夜ご飯は食べずに様子を見ることにした。『狼と鈴』の最新刊はとてもよく、『ラブコン』もだけど中原さんの作品は恋愛というより人間関係の描き方が素晴らしくて、ひとりずつの人間を好きになっていくんだよなあ、そうそう。
0427 晴れ
いい天気。朝は寒いけれど、昼はすこし暑い。私のお腹は痛まなくて、それは朝はバナナヨーグルトだけというのがちょうど良いみたいだった。お昼におにぎりを二つ食べると気持ち悪くなる。おにぎりは一つでいいのかもしれない。いまだにちょうど良い食事量がわからなくて、毎日困惑している。家に帰ると、toi booksさんから本が届く。あいだで考えるシリーズ『自分疲れ』『SNSの哲学』、『暗闇のなかの希望』の三冊と、四周年記念の小冊子『全身が青春』。『全身が青春』をぱらりと読み、磯上さんの文章の静けさを思い出し、『uso vol.3』を読みかえすなど。
0428 晴れ
せっかくの休みなのに元気はない。わたしに元気なときなどあっただろうか、これが通常運転なのでは、というような、よくわからない具体で、きょうはお昼にマクドナルドを一年ぶりくらいに食し、気持ちが悪くなる。
島田さんが「きれいな本が家にあるだけで未来は明るくなる」というようなことをいわれていて、その通りだった。私の本棚には美しい本ばかりが並んでいるので、いつだって誇らしいし、いつだって自慢したい。『故郷の本箱』について絶版ではない、品切れ中だ、とはっきりと言われていて、いつか手にすることができる希望で満ち溢れる。
そういえば山本善行さんに秋頃にも上林関連の嬉しい話ができるよ、と半年ほど前にお聞きしたので、それも楽しみで、そう、だから、私はそれまでにとにかく元気になりたいのだった。
YouTubeで、東出昌大が一万円分の本を買う企画をみて、三島由紀夫が読みたくなる。というより、彼の、本と向き合う姿勢がとても丁寧で、どの本も読んでみたくなるというような、すてきなものだった。指先ひとつで簡単に情報を手にできる時代だからこそ、本から学ぶことはたくさんある。しかしながら私は読書をすることによって学ぶという気持ちがあまりなくて、そこにあるのはやはり娯楽であり、じぶんにないものを持っている人には、やっぱり憧れる。
YouTubeを開いているついでに、VOGUEの、in the bagという企画の又吉直樹回をみる。二ヶ月に一度はみてしまうほど中毒性があり、又吉氏の色気が凄くて、毎度どきどき。企画はちがうけれど、VOGUEの、西加奈子氏の本棚をみるあれもすごく気に入って、繰り返しみている。
気に入った音楽は何千回と聴き続けるし、本も何度だって読む。気づけばYouTubeも気に入ったものをルーティンのように見ている。忘れがちだけれど、私はそういうような人間なのだ。
というような休日。
0429 晴れ
気持ち悪さで目が覚める。朝はバナナヨーグルト。
『町でいちばんの素人』を読み終わる。じぶん以外の誰かの思考というのは、たまに全くと言っていいほどわからなくて、それでいて日記という分野ではそういった思考が個人の中で結構な頻度で変化し、どんどんと散らばりをみせ、しかしそれが面白く、じぶんの思考の狭さと愚かさにいちいち驚かされたりする。
引用文を読んで、頭にハテナを浮かべることが多く、これ、この人理解してんのか、すげぇと思って、ドギマギしたりもするのだけど、どうやら柿内さんも飲み込めていない異物(その当時は)で、いつか読み返したときに分かればいい、というようなものだということを知り、ちょっと安心した。
日記はいい。日記という大きな括りもだけれど、やはり私は、誰かが本を読む日々に魅力を感じていて、そこにあるのは、ただ素直に、本を読む人が好きだというとても単純で確かなことなのだった。
夜、阿久津さんの読書日記が届く。
1から再読したい気持ちもあって、だけど、なんとなく腰が重くなってはいつもやめてしまうのだけど、さて、どうしよう。
0430 雨のち曇り
朝はバナナヨーグルトと、キャベツ。お昼にはつけ麺を食べた。アメトークの読書芸人をようやく観る。ラランド ニシダ氏の選書はいつだって絶妙で、相性がいい。いやしかし、ヒコロヒー氏もめっちゃよくて、好みど真ん中。西加奈子『くもをさがす』はそうですよね、いやいやそうですよね、という感じでなんだか嬉しい。
そういえば『くもをさがす』にカネコアヤノの燦々が引用されていて、なんかもうそれだけで、あのページが存在するだけで、私は生きていけそうな気になって、あるいは救われた気持ちになって、西さんも燦々に力もらってんだな、という事実が、あまりにも嬉しくて、その嬉しいという気持ちはいまだに長続きしていて、だからその、今も、ずっと、嬉しい。
読んでいた本、すべて読みおわってしまったな。
明日からどうしよう。
それでは、また。