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「発達障害は遺伝するか」についての見解(1)
しません。
遺伝的要因がゼロかと言ったらウソになるのですが、そもそも疾患において遺伝子が影響しないモノは皆無かと思います。
でも逆にいえば、その程度です。
発達障害の特性にかかわる遺伝子変異が、最近になって発見されたというニュースを見ましたが、そもそも人の遺伝子は約23000個あります。
そして、遺伝子の変異というのは特に異常なことでもなく、誰もが数百個程度は変異しているそうです。
レアな変異としては遺伝性のガンというものがあり、40%の確率で子も発症します。
これは遺伝子検査ではっきり分かります。
一般的に遺伝という言葉のイメージはそういったものかと思いますが、
発達障害については「カゼの引きやすさも多少は遺伝するよね」というレベルの話です。
しかも、父母というのは遺伝子的には赤の他人です。
自分の発達障害の話
古稀をすぎた僕の父親は、あまり他人に興味がなく、空気が読めないタイプです。
言動が少しでも変わっている人はグレーゾーン。
と括れば、親父はグレーゾーンなのかもしれません。
ですが、とりたてて困っているようには見えません。
うつや不眠、衝動的な行動、依存症、といった精神疾患的な症状はまったく見当たりません。
どころか、若いころは安田講堂にこもり、元気いっぱい機動隊に火炎瓶を投げつけ、バブル全盛期の大手企業の給与を満喫し、とくだん有能なわけではないが定年まで勤め上げ、いまは悠々自適に趣味に没頭する毎日です。
そういう人を発達障害とかアスペルガーとか、あるいはグレーゾーンとか呼ぶのでしょうか?
一方、僕自身は、子ども時代はちょっと落ち着きのない変な子であったものの、生活上・教育上の問題を起こすことは特になく、友達と普通に仲よく遊んで毎日を過ごしていました。
しかし、そんな普通の子でも、10代半ばからうつ状態が始まり、社会に出た後は数年で就労不能になりました。
こういう話は、
「遺伝的要因がゼロとは証明できない」けど、「逆にいえばただそれだけ」という好例だと思います。
純科学的な発達障害の話
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発達障害(のなりやすさ)が遺伝する要因としては
・必要な栄養の量が遺伝的要因で変化する
・メチレーション回路という体内の化学反応の過剰/不足が遺伝子に影響を受ける
・インスリンなどの慢性疾患と関係してくるホルモンの活性も遺伝的要因にやや左右される
あたりです。
単独で障害を引き起こすものであれば、それは別の病名がつくはずです。
十人十色の症状なんて出ません。
そもそも発達障害/精神疾患は、複数の要因がからみ合って発症するものです。
(これはこのマガジン「健常者になろう!」をお読みいただくうえで大事な記事ベスト10に入りますので、必ず知っていてほしいことです。)
そしてまた、上に挙げた遺伝子的な要因は、実はきっちりと治療法が確立されています。
「必要な栄養の量が遺伝的要因で変化する」については、治療法を記事にまとめておきました。
遺伝的要因をとてもシンプルなやり方で克服するのがメガビタミン療法でもあります。
メチレーションやホルモンの話についても、今後記事をまとめていこうと思います。
ざっくり言って、
「遺伝子」というと個人の運命を決定してしまうようなイメージですが、
よほどレアな異常(いわゆる先天的な難病系)がない限り、医学的に十分予防・治療可能なのです。
先に挙げた遺伝性のガンも早期発見ができれば治療可能です。
ただし、親から子へと引き継がれていくもので、発達障害/精神疾患の原因として遺伝子より重要なものがあります。
後半では、その「非科学的な」話をしていこうと思います。
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