マイストーリー②「母国に戻ってきたのに馴染めない」誰にも言えない葛藤
(マイストーリー①はこちらから)
本帰国辞令は突然に
全く予期しないタイミングで降って湧いた、日本への本帰国辞令。
夫から話を聞いた瞬間、頭の中が真っ白に。
その後もしばらくは、ショックのあまり何も考えられませんでした。
人見知りの激しい息子が、一年間かけてちょっとずつ幼稚園に馴染み
やっと心からの弾けるような笑顔で登園するようになったところだった。
私自身にも尊敬できる仲間ができて、彼女たちと交流を深めながら、仕事につながる新たな挑戦をしてみようとあれこれ計画している最中だった。
「大好きな先生やお友達もできて、幼稚園生活を楽しみ始めたばかりなのに」
「ここでやりたいと思えることがやっと見つかって、今から形にしていくところだったのに」
「行きたい場所だって、まだまだたくさんあるのに」
「今いる場所が私たち家族の『ホーム』だと感じられるようになって、ここからだったのに」
時間をかけて少しずつ築き上げてきたものが、一気に崩されるような感覚。
せっかくいいところまで進んでいたゲームが急にリセットされてしまうような、なんともいえない虚しさ。
でも、いくら嘆いても時は待ってくれない。
「残された時間をめいっぱい楽しもう!」
なんとか気持ちを切り替えて通常の3倍速くらいで動きまわり、一ヶ月後には帰国の途につきました。
「母国に戻ってきたのに…」焦燥感と孤独感が募る日々
日本に戻って、東京での初めての社宅生活。
幸いとても風通しのいい社宅で、心配していた人間関係のいざこざなどは全くなかったけれど
それでも東京に戻ってきてからは、同じくらいの年齢の子たちと「できない・遅い」と比べられる機会がグッと増えたように感じていました。
転入した幼稚園の面談では、成長面で遅れていること・できないことを指摘されるうちに時間いっぱいになり終了。
「息子くんの走ってる姿、まるで歩いてるみたいね(笑)」
「タイみたいな暑い場所にいたから、運動できなくても仕方ないよねえ。早めに日本に帰ってこられてよかったんじゃない」
子供たちを遊ばせながら交わす会話の中に出てくる、何気ない、おそらく他意もない発言がチクン、チクンと胸につき刺さる。
瞬間的に、馬鹿にされているような、ちょっぴり見下されているような気がしてしまう。
でも、「きっと私の考えすぎだ」とそんな思いを必死に打ち消しながら、当時の私は笑顔を崩せないまま、ただ曖昧に頷くことしかできませんでした。
「この子の成長がゆっくりなのは、私の育て方が悪いせいなのかな」
「大好きだったバンコクでの生活は、息子にとってマイナスだったの?」
「親の私が、努力してなんとか成長を促さなくちゃ。なんでも年齢相応にできるようにしなくちゃ」
住み慣れたはずの母国、日本での子育てに強烈な違和感と居心地の悪さを覚えながらも、それを無理やり胸にしまいこみ
たくさんの「こうあるべき」「こうしなきゃ」に囚われて
「私や息子に問題があるんだから、それを変えきゃいけない!」
と必死にもがいていたあの頃。
おそらく周囲からは、東京での新しい生活にすっかり馴染んだように見えていたと思うけれど、心の中には焦燥感や劣等感ばかりが募っていきました。
身近なところに人はたくさんいたけれど、誰にも本当の気持ちを打ち明けることはできなかった。
「マーシャン祥子」って、いったいナニモノ??
そんなとき、日々のごはん作りにも頭を悩ませていた私が
「ヘルシーレシピ」を検索する中で偶然たどり着いたのが、マーシャン祥子さんのブログ。
手軽に作れて、ヘルシーかつ美味しそうなレシピの魅力もさることながら、私が衝撃を受けたのは
「この人、なんて自由そうなの?まるで背中に羽が生えてる??」
そこから彼女のブログをさかのぼって、貪るように読みました。
「祥子さんの世界観を、もっと知りたい。体験してみたい!!」
そんな想いで、彼女が主催する『子育てを楽にするFood Thepary』(オンラインの食育プログラム)の門を叩くことになったのでした。
「フードセラピー」っていうからには、やっぱりどこまでも食についてだよね。
そう思っていたのが、食育はただの入り口でしかなかったと気づくことになるのは、まだだいぶ先のことなのだけれど…。
(マイストーリー③に続く)