我が子に嫉妬してしまう世代間連鎖って?
子育てをしていると
我が子がとった何気ない行動に対して
無性に腹が立ったりイラッとすることがあります。
例えばこんなこと。
別に何か悪いことをしたわけでもなく,
ただ子どもが「お母さん」と甘えてきただけなのに,
その仕草や言い方になんとも言えない嫌悪感のようなものを持ってしまう。
子どもが悪いことをしたわけでもないのになぜ?
と,嫌悪感やイライラの正体を紐解いていくと
最終的に行き着くのが
嫉妬心や恨み の感情です。
なぜ我が子に対してそんな感情を抱くのか。
その多くは,お母さん自身が幼少期に自分の親や周囲の大人から傷つけられた体験に由来しています。
例えば小さい頃
いつも欲しいものを与えてもらえなかった。
親に何かをねだると
「お前は贅沢でわがままだ!」
と強く叱られた。
こうした経験を重ねて育つことで
欲しいものは簡単に手に入ると思うな
苦労して手に入れるべきだ
というような信念が形成されます。
すると,自分が親になった時に
子どもが
「あれが欲しい!買って!」
と無邪気にねだっただけで
ここで買ってもらえるのはズルい!
私は子どもの頃も我慢してたのに!
と無性に腹が立って
必要以上に厳しく制限したり
簡単に買い与えてしまうパートナーや祖父母に
怒りの気持ちが込み上げたりします。
この怒りの感情は正確にいうと 嫉妬 です。
子どもはどんな時でも親からの愛情なしには生きられません。
だからどんな時も必死で親の愛を探しています。
そして
親の愛情を探し求めた結果
満たされるどころか
叱られたり怒られて傷ついた
という経験は
○○をした自分は悪い
自分が悪い子だから親は愛してくれなかった
という強烈な信念となって
その人の人格の一部を形成することがあります。
信念や価値観そのものに良し悪しはありませんが,特定の信念によって行動が制限されてしまったり,まるで鎖のようにして本人の「自由」を奪ってしまうことがあります。
例えば,
親から十分に甘えさせてもらえないまま育った子は無意識のうちにこんな信念をつくりだします。
どうせ自分は愛されない
人として愛される価値がない
他人には甘えるべきではない
困っても自分でなんとかすべき
そしてこんな信念を持ったまま親になると
当然
我が子が示す自分への愛
も素直に受け取ることができません。
子どもはただ甘えたくて親のところに来ただけなのに,
「忙しい時にやりたいことを邪魔してくる」
と感じてしまったりするのです。
私は甘えたくても甘えられなかったのに
私は親に迷惑をかけないように我慢したのに
こんな風にして
自分の中の傷ついた自分の一部(パート)が強烈に自己主張し始めます。
そして今目の前にいる我が子に対して
嫉妬の気持ちがわきおこったり
本来自分の親に向かうべき怒りや恨みが
否定的な感情となって子どもへ向いてしまうのです。
こんな風に,
子どもは悪くないのに親の一方的な感情によって子どもを傷つけてしまう,ということは日常的によくあることです。
子どもの頃
親からの理不尽な要求や関わり方に対して
必死になって応え続けてきた人ほど
苦しかったという自分の気持ちを我が子にぶつけてしまうことが多く,
その関わり方が続くことで
我が子との関係も悪化することが多いです。
さらにそんな環境の中で育った子は
将来親になった時に同じような子育てを繰り返す可能性が高くなります。
これが世代間連鎖です。
世代間連鎖は
断ち切ることができますが
親から子へ
さらには親のもっと前の世代から受け継いできた「信念」の鎖を断ち切るというのはそんな簡単なことではありません。
例えるならば,地中に埋められた無数の地雷を一つずつ探し出して撤去していくような地道な作業です。
どこに埋められているのかなんとなく見当がつく場合もあれば,
自分でも全く予想だにしないようなところで見つかって自爆することもしばしば。
ちなみに,地雷が埋まっているサインは
子どもの何気ない言動に
自分の神経が逆撫でされるような不快感があった時や,
理由はよく分からないけどなんとなく腹が立つ,イライラする時
この状態のとき感情に任せて子どもに関わると全くプラスにならないので
あぁ多分ここに地雷があるなぁ…
と一旦受け止める。
そして
その感情を引き起こしているのは
「自分自身」であって子どもが悪いわけではない,と冷静に自分に言い聞かせる。
改めてひとりの時間が取れる時に
自分の過去や親との関わりを振り返ってみることで,手掛かりを探します。
親との関わりについては必ずしも
「怒られた」「叱られた」
という言語化されたものだけでなく,
親が不機嫌になった
理不尽なイライラをぶつけられた
といったネガティブな感情も含みます。
自分の親との関係性で手掛かりが見つかないものは,祖父母はどうだったのか?と,さらにもうひと世代前にまで遡ってみても良いです。
そして振り返った結果
過去に傷ついた自分を見つけることができたら
今度はその傷を癒してあげることで
少しずつ地雷の爆発(瞬間湯沸かし的にカッとなる怒り)を
コントロールできるようになって徐々に楽になっていきます。
ここまでにかかる時間には個人差もありますが
自分ひとりでは見つからないこともあるので
コーチングなどの伴走支援を受けながら
コーチと一緒に探していくと
余計な回り道をせずに短い時間で済みます。
親の中に埋めこまれている地雷の数が多いと
爆発する頻度も高いので
当然その度に子どもは消耗します。
その結果,不登校や様々な問題行動となって表出する可能性が高まります。
今不登校も含めてお子さんとの関わりに悩んでいる
もしくは自分のイライラや怒りのコントロールが難しいという方で
真面目
頑張り屋
期待に応える
空気を読むのが上手い
努力が足りない
楽に上手くいくはずない
苦労してナンボ
こんなキーワードに
「ひっかかる」
「ピンとくる」
という場合は,
結構な数の地雷が埋め込まれている可能性が高いです。
子どもの強烈な反抗や不登校は
子どもからのSOSでもあると同時に
「お母さん!そろそろ自由になってもいいんじゃない?お互いに苦しむのはもうやめようよ」
というメッセージでもあります。
世代間連鎖をあなたが今ここで断ち切るのか
我が子にも受け継いでいくのか。
自分の生き方を縛る鎖を外していくことで
子育てだけでなく
お母さん自身の人生も楽しめるようになっていきます。
お読みいただきありがとうございました。