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フリーレンとフリーデン -友人の壮大な勘違い- #040

友人の女性2人と私の3人で、会話をしていた時のこと。私と一人の友人は、『葬送のフリーレン』の話で盛り上がっていた。

彼女は、休日になるたびアニメを1話から通して観ていて、マンガの描写との細かな違いを比べたりするくらい、ハマっている。

私も、そのストーリーだけでなく、描写や音楽の美しさ、淡々としていながらとても細やかな心理描写や、声の表現に、観るたびとてもあたたかい気持ちになる、と話していた。

「ガシャポンでラバーマスコットがあって、フリーレンがミミックに食べられているのがあるんですけど、それ欲しいんですよね」

と彼女は言い、もう一人の友人に「もしどこかで見つけたら、ガチャガチャ回しておいてくれない?」と声をかけた。

頼まれた彼女は『葬送のフリーレン』を知らなかったらしく、われわれの会話を聞きながらスマホで検索していた。表示された画面を見ながら彼女は、なぜかずっと眉をひそめていて、我々にこう言った。

「…これが好きなの?」

どういうことだろう。彼女は、何を見ているのだろうか。

私とフリーレン好きの友人は「いろいろなマスコットの種類がある中で、あえて『ミミックに食べられているフリーレン』のを選ぶ」所に、彼女が引っ掛かったのかと思った。

確かに、他にもあるフリーレンのかわいい(美しい)キーホルダーや、勇者ヒンメルをはじめとする第一パーティーのメンバー、フェルンやシュタルク、アウラのもあるとしたら、どうして敢えてそれを選ぶのか、という意見も分からなくはない。

しかし、彼女の言っていることはそういうことではなかった。

彼女のスマホの画面には「白い戦艦の画像」がたくさん表示されていた。

彼女は「フリーレン」ではなく、「フリーデン」と検索していたのだった。

「フリーデン」というのはアニメ『機動新世紀ガンダムX』に登場する戦艦のことらしい。

「この、ラバーマスコットがほしいの?」

彼女は、「これがミミックに食べられるとは、どういうことなのか」考えていたのかもしれない。

ミミックはファンタジーやロールプレイングゲームに登場する、宝箱に擬態して、人を襲うモンスターなのだが、「フリーデン」を食べるのは、どうも難しそうだ。

ところで、その会話の少し前、我々はラーメン屋にいた。

フリーレンとフリーデンを聞き間違えた友人は、メニューを見ながら、やはり眉をひそめていた。

「『タレタレ麺』って…、何?」

添えられている写真はどう見ても「タンタン麺(担々麺)」である。「ン」の文字の2画がつながっていて読みにくくても、「たれたれ麺」とはなんなのだ。

フリーレンとフリーデンはそれぞれ、ドイツ語で「凍る」frieren、「平和」Friedenの意味だと知った。

フリーレンは師匠フランメ(炎 Flamme)と出会い、ヒンメル(天国・空Himmel)やハイター(朗らか Heiter)、アイゼン(鉄 Eisen)と一緒に冒険することで、大切な人を失う悲しみを想い、人を知りたいと思うようになっていく。

そしてフェルン(遠いFern)やシュタルク(強い Stark)と出会い、共に旅立つのだ。

友人たちとの会話や、美味しいラーメン、『葬送のフリーレン』の美しさやあたたかさを思い出して、私は平和な気持ちになっているのだった。

憧れの勇者御一行を見るつなまよ達(本文とは直接関係ありません)


2024年1月8日執筆、2024年1月14日投稿
illustrated by maemuki🎨

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