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老父と娘の"ちょっといい時間"

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認知症の実父と娘の"ちょっといい時間"を綴ったエッセイ。介護の中には、幸せがいっぱいでした。
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2023年2月の記事一覧

残念なカスタードクリームで"私"を大切にする

残念なカスタードクリームで"私"を大切にする

手作りのカスタードクリームを、パンにたっぷり塗って食べたいなぁ。

ふと、そう思った。

普段は、あまりお菓子作りはしないので、前回作ったのは3年以上前だった。

実は、前日の朝食時にもそう思ったのだが、今から作ったのでは朝食が遅くなるし、まあいいかと辞めにした。

ところが翌朝も、やっぱり食べたいと思った。

父のことに気を配る日常を過ごしていると、こうした

"ちょっとした私の気持ち"

をス

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父と迎える7回目の節分

父と迎える7回目の節分

私「今日は節分だでね。歳の数だけお豆食べてね^ ^」

父「そんなの関係ねぇや」

テレビでは、各地の節分の様子が紹介されています。動物園で、恵方巻きや豆に見立てたエサが、動物たちにプレゼントされた様子を見て、父がククッと笑いました。

私「お父さんは何歳ですか?」

去年の投稿を見ると、最初は70歳から始まり、80歳→90歳と言い直したようです。

今年は、何て言うかな…?

少し考えると、私の

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ぽんこつバトル

ぽんこつバトル

夕方はいつも、認知症の父とテレビを見ながら少し遅めのお茶にする。そして、お茶を飲んでいる間に風呂を沸かす。

前もって、父が服を脱ぐ寝室、その後移動して下着を脱ぐ脱衣所、そして浴室の3ヶ所を、やや温度高め設定の暖房で温める。

お茶を飲んで、父の身体が温まったところで、父を風呂へと促すのだ。冬はこのくらいまでしないと、高齢の父はすぐにヒートショックを起こしてしまう。

日ごろの父の入浴までの様子は

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