清水理恵
認知症の実父と娘の"ちょっといい時間"を綴ったエッセイ。介護の中には、幸せがいっぱいでした。
介護用品が必要なほどではない"高齢者以上・介護用品未満"の人に、ちょっとあると便利な物。介護用品売り場にはないし、「介護に役立ちますよ」とは宣伝されていないけれど、認知症の父の介護で役立っている、そんなものをご紹介します。
この文章は、下記の「明日死ぬなら刺身定食①」の続きです。まだの方は、こちらからどうぞ↓ ところが、その夜のこと。父がお風呂に入っていた時のことだ。 と、その前に、まずは、父のお風呂に入る時のルーティーンを書いておこうと思う。 いつも、夕方のだいたい決まった時間に、父は入浴する。元々、大の酒好きで、毎晩、風呂を先に済ませてから、パジャマ姿でゆっくりと晩酌を楽しんできた。だから、初めて脳梗塞になって以降、たまにしかお酒を飲ませてもらえなくなった今も、変わらず、夕飯の前に入浴
「それでは、お人柄についてお話しいただけますでしょうか？」 電話の女性からの問いかけに、喪主である弟が困ったような顔を私に向けた。 地元ローカル新聞の訃報欄には、昔から、まるで結婚式で新郎新婦を紹介するほどにプライベートな情報が載せられるのが通例だ。 さすがに今日では、少し控えめになってはいるものの、全国紙の訃報欄のようにあっさり葬儀の情報のみとはいかない。 仕事、学歴、趣味、家族との関わりなど、添えられる内容は人それぞれだ。 うん、そうなんだけど… 私の父は、「い
11/19に、ひっそりと、名前を「紬生（つむぎ）」から「清水理恵」に変更しました。引き続き、どうぞ宜しくお願いします🍀 ……………………………………………… 【私のなんだから〜】 友だちからいただいた缶入りのお菓子。 入れ物も可愛かったけれど、開けたら、とっても可愛らしいクッキーでした♡クッキーの色によって、味も違うの^ ^ すでにおやつを食べ終わった後だったけれど、 お父さんにもあげようかなと、父の前に置いたら、 ちょっと覗き込んでから 父「なんだ、買ってきたの
気がつけば、あっという間に9月。 暫く投稿がないことを心配してくださった皆さま、ありがとうございます。父も私も、元気にしています😊 毎年、夏と冬は、いつも穏やかで大人しい父が、妄想モードを頻発するため、たいてい私も、それに巻き込まれることに。暑さや寒さで身体がしんどいと、父の脳は、誤作動をおこすのです。 とりわけ昨年の夏は、「妄想＋珍しく超不機嫌モード」の父で（認知症の症状の一つで、感情のコントロールがきかなくなる）私が辟易したため、 さぁさぁ、今年はどう来る⁈と、か
のんびり顔で、大好きな高校野球をテレビ観戦する父。 ここ数年は、観てはいるものの、試合の流れがわかっているのか、いないのか、微妙な時も多いけれど、今日は、比較的落ち着いていたので、どうやらちゃんと観れている様子^ ^ 長野大会決勝は、地元松本市の強豪校である松商学園vs上田西高校。そして、勝利の旗は上田西高校に⚾️ テレビの隅に書かれた 「8年ぶり3回目の優勝」 の文字を見た父が、ボソッと… 「8年間に3回も優勝したのか。結構、強い学校なんだなぁ」 はぁ💧？ 強さが
【深夜の花咲か爺さん】 昨日の深夜。 リビングでうたた寝してしまっていた私は、父がトイレに起きた音で目が覚めた。 いかんいかん。ベッドへ行って寝なくては… ぼんやりと時計を見ると、24時をすぎたあたり。父がトイレに起きる時間としては少し早めだが、今日も暑さで、たくさんお茶を飲んだし、寝室の様子を見に行かなかったから、寝苦しくて起きちゃったのかもしれないな。 寝ぼけ眼で、そう思っていた時だった。 ガチャリ うぉっ😳？！？！ 一瞬で目が覚めた私は、文字通り飛び起き
6月上旬に、家族が長野県高山村で、根曲り竹をたくさん採ってきてくれました。 根曲り竹は、天ぷらなども美味しいけれど、主にサバ缶と一緒に味噌汁にする"たけのこ汁（北信地方の郷土料理）で食べるのが一般的。 繊維質で、下の方は固いので、父が下痢をしてしまわないように、上の柔らかい部分のみで調理していただきました。 オーブントースターで、皮ごと素焼きにしたり、ワラビと一緒に炊き込みご飯にしたりと、今年も家族みんなで堪能。 父のお腹は若干ゆるくなったけれど、美味しかったからいい
昨日のNHK「家族に乾杯」の舞台は松本市。 北インドカレーのお店「Doon食堂 印度山」オーナー夫妻の、 アシシュさん 真由美さん （小学校卒業直前の息子さんの様子）
もうすぐ、父の日ですね。 あなたは、父親をハグできますか？ 残念ながら、私はできませんでした。 そんな私が、勇気を出してハグしてみたら…。 両親をハグしてみて良かったと思っているのは、母が他界した後に、母のハグを、私の身体が今でも覚えていること。 そして、このエッセイは、最も「書いておいて良かった」と感じている文章のひとつです。 （※下記の文章は、2014年8月にsns投稿したものを、2020年6月にエッセイとしてリライトし、2023年6月に加筆修正したものです）
近年、スポーツ業界では、フィギュアスケートで4回転の演技が当たり前になったり、男子100m走で10秒を切ったりと、以前なら考えられなかったような新記録が次々と誕生している。 そうした世界スポーツの風に準じたのか、ついに認知症の父にも"新技"が繰り出された！ 父は洗面所で手を洗った後は、必ず、彼が手を洗ってタオルで拭いたという「痕跡」を残すのだが、 昨日、私は、洗面所で見た光景に思わず目を奪われた。 タオルはついに、「蛇口ハンドルに巻きつけられる」という偉業が成されてい
1週間前に、同居する弟が蕨を採ってきてくれました。玄関には、たくさんの蕨が入った段ボール箱が3つ。 蕨の隅には、少しだけ、タラの芽とコシアブラもあります。 父が、蕨を覗き込んでいたので、 私「◯◯（弟）が採ってきてくれたんだよ^ ^」 父「たんと（＝いっぱい）あるなぁ。フフフフ」 すると父は、隅にあったタラの芽を見て、 父「これは、タラの芽か」 私「（蕨を指差して）これは？」 父「フフ。これは、当たり前のだ」 私「当たり前の何？」 父「ザクロ」 😆？！ （どこか
以前住んでいた実家には、壺庭があって、そこに葡萄が植えられていました。 ナイヤガラという品種で、一般には流通量が少ないため、全国的にはあまり知られていませんが、松本では、デラウェアみたいに、昔からよく食べられてきた品種です。 秋になると独特の甘〜い香りを放ち、たくさんの実をつけ、熟し切った房は、毎年、私たち家族の舌を楽しませてくれました。 今の家に引っ越してきてからも、きっと父が植えたのでしょう、庭の片隅に、葡萄の木が育っています。 品種はわかりませんが、きっとナイヤ
ここのところ、入浴後に、洗面台の前に立っては、 「そろそろ、髪、切りに行かなきゃ行けねぇなぁ」 と、さかんに気にする父。 前回、散髪に行ってから2ヶ月以上たつので、さすがに気になってきたようです。 するとある日は、伸びた髪を自分でなでつけながら、洗面台の鏡に映る自分を見て、ボソッとこんなひと言も。 「このまま、ずっと切らなかったら、どうなっちゃうだろうか？」 私:「。。。😅（はぁ？w）」 長髪の父の、未知なる姿を想像して、思わず、腹の中で吹き出しました😆 （ア
ヴィ・ド・フランスで、 絵本『そらまめくんのベッド』（なかやみわ/作・絵 福音館書店 ⭐︎このシリーズは小学館からも出ています）の "そらまめくん"のパンが売られているという情報をゲットしたので、早速、パン屋さんへ。 そらまめくんのパンには、「そら豆は入っていません」と書かれていたのでw ほかに、そら豆がのったフォカッチャと、 城と白をかけた、ご当地限定の「松本SHIROあんぱん」（中に、白いホイップクリームが入ったあんぱん）を購入。（ヴィ・ド・フランスに、ご当地パ
父と、城山公園で花見をしていた時のこと。 自宅を出る時に 「オシッコ、行っておいで^ ^」 と声をかけたのに、 「いい」 と言って、行かなかった父。 持参したパンを、半分ほどかじり始めたところで、 「トイレ、どこだや？」 ほら〜〜〜😑 父は、食べている最中に、急にトイレに立つことが多い。 私が、 「も〜も〜も〜も〜💧」 と言っても、本気で怒っていないことをわかっているので、父はどんな顔もせず、 「行ってくる」 と言って、1人でトイレに向かった。 とはいえ、ホント
先日の花見の翌日はデイサービス。 その翌日、今度は城山公園で父と花見🌸 例年なら、城山公園は少し標高が高いので、市街地の桜が終わった頃に見頃になる。けれど今年は、ほぼ同時に咲いてしまった。 ２日前に行ったばかりだし、どうしようか迷ったものの、やっぱり行くことにした。 毎年、桜の時期が来ると、父は来年も、桜を見られるのだろうかとぼんやりと思う。 これまで、脳梗塞だけでも4回。癌もしたし、今では、ちょっとした気温差で、すぐにヒートショックをおこして風呂場でひっくり返る。
