映画『ボーンズアンドオール』孤独な少女が求めたものは
久しぶりにnoteを書いています。子供が独立して時間が経ち、私自身も一人の暮らしに慣れてきました。また少しづつですが映画の感想を書きたいと思います。お付き合いいただければ嬉しいです。
本作は『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督。2022年作品。79回ベネチア国際映画祭最優秀監督賞、新人俳優賞テイラー・ラッセル。
自分だけが人と違っている。こんなの世界で自分だけだ。マレン(テイラー・ラッセル)は抑えられない残酷な衝動ゆえずっと孤独だった。やっと出会えたリー(ティモシー・シャラメ)の存在がどれほど大きいものだったか。グロ描写も容赦なかったけど、とても切実な愛の物語だった。
「人を食べる」青年リーはティモシー・シャラメの暗い瞳と危うさが最大限に生かされていて、知る限りのシャラメのなかでは一番魅力的だと思う。
そのシャラメと同じくらい、いやそれ以上魅力的だったかもしれないテイラー・ラッセル。少女の孤独と瞬発力と「好き」という気持ちが溢れていて素晴らしい。
ティモシー・シャラメとテイラー・ラッセルが並んだ絵を観ると、なんだか新鮮な美しさを感じる。それは人種も性別も関係ない、同性を好きであろうが異性を好きであろうが全く関係のないような清々しい美しさだ。この作品で「清々しい」というのもおかしいのだけれど。この二人が演じたことで作品の魅力が何倍にもなったと思う。
ホラー要素と恋愛が必要不可欠なものとして融合して、居場所を捜す二人は80年代アメリカの風景の中で観たことも無い輝きを放っていた。ルカ・グァダニーノ監督、素晴らしいです。