見出し画像

詩|芍薬



赤と青がわたしの中を流れる
止まることのない命のいろ

傾きかけた世界の切れ端で
白い芍薬が ごろんと散った
鮮やかに艶やかに色っぽくて
こんなふうに終われたらって
わたしの最期の日を思った

どうしたらそんなにも美しく
終わることができるの

本当のわたしになりたくて
芍薬のふりをして咲いても
ちっとも本物じゃなかった
どんな美しいものにもかえがたい
わたしという花を咲かせて

赤と青が白を染める
血が泣いているんだね
わたしを生きて欲しいと



芍薬 / 月乃


ごろん。と、芍薬が落ちる姿が美しかった。
命が転がるみたいで、泣きそうになった。


いいなと思ったら応援しよう!