【制作のおはなし】お菓子屋さんの布づくり
2023年7月、熊谷市にあるお菓子やさん「おかしやのん」さんのお店に飾る布をオーダーいただきました。
打ち合わせから完成までの流れをご紹介します。
染めものでどんなことができるか、オーダーはどう進んでいくのか、イメージいただけると嬉しいです。
今回、<筒描き染め>という技法で制作します。
●筒描き染め(つつがきぞめ)
もち粉とぬかを煮詰めた<糊>を布に絞り出し、内側を刷毛で塗って染めていく技法。フリーハンドで描くため、思い描いた図案を自由に染めることができます。
1.用途のご確認・デザインに入れて欲しい内容の確認
今回オーダーいただいたのは、開店時にお店に飾る布。
開店日に合わせて、お店のオープンを知らせるツールにしたいとのことでした。
①店名 ②いくつかのお菓子をモチーフに染める
というデザインの条件もいただきました。
サイズは、一般的な手ぬぐいのサイズ。35㎝×90㎝。市販の手ぬぐい掛けに掛けて飾れるようにします。
2.デザイン案作成
数日後、いただいた条件をもとに、デザインを4パターンご提案しました。
文字の色はお菓子をイメージして、美味しそうなキャラメル色。
落ち着いた色合いで見やすいダークブラウンの2案を作成しました。
デザインを作成するときは、スケッチから入ります。
モチーフを観察する時間をつくることで、イメージをしっかりとらえられるような気がします。
お菓子も実際にいただきました。
レモンクッキーとえんどう豆のクッキー。管理栄養士をされているのんさん。体に優しく、素材はとてもシンプル。シンプルな材料なのにとても深みがあって、また食べたくなる味でした。
3.制作
デザインは「整列パターンのダークブラウン」に決定しました!それでは実際に作っていきます。
①原寸大図案の作成
布に下絵を写すため、デザインを原寸大にひきのばします。
原寸大にしてみて、文字が細すぎることに気づきました!
デザイン初期段階で原寸大で試すべきだったと発覚。すこし太くして調整します。
②下絵をうつす
布にデザインを写していきます。
③糊置き
デザインに沿って、糊で輪郭線を描いていきます。一番ドキドキする作業です。
④染め
無事に染めの過程にたどりつきました。染料を調色しながら刷毛で塗っていきます。焼き菓子らしい、美味しそう!と思えるような色合いで、かつ自然な色合いを目指しました。
⑤洗い
たっぷりのお水で洗い、糊を落とします。
⑥乾燥・完成!
アイロンをかけ無事に完成しました。 布になった瞬間はとても嬉しい!
染めものらしく、白と他の色とのコントラストがはっきりした仕上がりになりました。
お店に飾っていただきました!
【反省点】今回は糊置きがうまくいかず、別布でやり直しました。
そのためご依頼からご納品まで1か月ほどかかってしまいました。
納得いくものを作れたのは良かったですが、やり直し分の時間を想定していなかったのが問題でした…
のんさんにはご親切にお待ちいただき、ありがとうございました!
のんさんのお菓子づくりへの思いや、丁寧で美しい仕事に触れて、私も元気をいただきました。
改めまして、オーダー本当にありがとうございました!
以上、染めもののオーダーの流れをご紹介しました。
筒描き染めは絞り袋に入れて、糊を絞り出して染めるので、シンプルでおおらかなデザインが得意です。
お店のオリジナル看板やのれんなど、ご検討の際にはお気軽にご相談ください。
デザインに1~2週間・制作に3週間~4週間ほどいただいて、制作いたします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?