20240716 イラストエッセイ「読まずに死ねない本」 0016 「ホビットの冒険」
トールキンの「ホビットの冒険」は、三十年以上前に初めて読んでから、十回以上繰り返して読んだ本です。
トールキンと言えば、「指輪物語」の方が有名かも知れませんけれど、「指輪物語」は「ホビットの冒険」の後日譚、スピンオフ作品なんですね。スピンオフの方が大作になっているのですが。笑
「ホビットの冒険」は、こじんまりとした素敵な穴倉に暮らすホビット族のビルボ・バギンズが、魔法使いのガンダルフ、そしてドワーフたちと一緒に、恐ろしい竜のスマウグから宝物を取り返す、というお話。
波乱万丈の冒険もさることながら、ぼくが大好きなのは、ホビット族の日々の暮らし。イギリスの小市民を思わせる、ルーティンに守られた穏やかな生活。おいしい食事とパイプ、お茶の時間(アフタヌーンティー)。そして居心地の良い住まい。ホビット族にとって「冒険」はもっとも縁遠いもの。そのホビット族のビルボが冒険にかり出されるところが面白いのですけれど。
冒険には二つの良い所があります。まず第一に冒険そのもの。そして第二には、家に帰れる喜び。
「ホビットの冒険」には、冒険自体の面白さと、そして我が家のすばらしさの両方が描かれています。そう思うと、冒険とは我が家のすばらしさを再認識するためにあると言っても良いかも知れません。
人は宝を求めて地の果てまでも旅をして、宝はいつもずっと自分と一緒にあったことを知る。
そういうことなのかも知れません。
秋の夜長(今は夏ですけれど)、スマホの電源を落として、ゆっくり味わっていただきたい冒険小説です。
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