#夏の思い出
あのひとの香水は、大人の香りがした
サングラスを頭にのせて、髪をかきあげながらそのひとはやってくる。かっこいい車に乗って、都会の風をまとうそのひとは、わたしにいつもトキメキを教えてくれるひとだった。
そのひとは母の友だちで、お日さまの香りの代わりに、いつも花の香りを纏っていた。うちでは嗅ぐことのないその香りがわたしはだいすきで、母に「あの香りにして!」と駄々をこねては怒られていた。今思えばきっと高い香水だったのだろう、わたしも!と
夏の終わり、永遠に"普通"になれない私たち
夏の終わりに瞬いたのは、まるで花火のような愛だった。
「初乗りはいくら?」と聞かれた先日。タクシー待ちをしていたわたしに声をかけたのは、青の宝石を胸元につけた、腰の曲がったおばあちゃん。どうやらおしゃべり好きのおばあちゃんらしく、わたしが質問に答えても永遠に話しかけてくる。暑さでイライラする毎日、タクシーも来なくて気分は最悪。めんどくさいな、なんて少し思ってしまう。
おばあちゃんは「あなたのワ