朱野帰子『対岸の家事』
twitterだったかFacebookだったか、SNSで目にしてからずっと気になっていた一冊をやっと読むことができた。前情報がそこまであった訳ではないので、読んでみてビックリというか衝撃を受けたというか。家事、育児の現実がそこには描かれていました。
自分も男性ながら育児休業を取得したことがあり、すごく描かれている内容を身近に感じました。子が生まれる前や育休取得前に思い描いていた日々とは全く違う現実。毎日のやることをこなすことが精一杯で、気づけば夜中。疲れ果てて、眠るもののまたすぐに朝がやってくるという連続。そりゃ、心が崩壊してもおかしくないですよ。曜日感覚すらなくなり、時事ネタになんて追えたものじゃない。隣の芝生は青く見える、じゃないですがSNSに挙げられてる友人の投稿に羨んだり、僻んだり。それが自分を追い詰めることに拍車をかけるきっかけになったり負の無限ループ。
育児休業、時短勤務。法令や制度をどれだけ整えても、まだまだ手を差し伸べて欲しい。周りを見れば、制度が活用されているから問題ないでしょう?という感じで全くフォローをしようとしない。フォローといっても「救う」「助ける」のことだけではなく、さらにより良くするために「導く」という面が特に欠けているように思う。
孤独なんです。家族がいても、家族だからこそ弱音が吐けなかったりすることもあるんです。だから、友人、知人、ご近所さんなどの繋がり、居場所が必要なんです。「自分はひとりじゃない」「助けれくれる人がいる」「吐き出せる場所がある」「居場所がある」と思えることがどれほど安心を与えてくれることか。
家事、育児だけではなく「孤独」という問題が社会に溢れかえっていると思う。だからこそ、「絆」「繋がり」が見直されているのではないでしょうか。縦、横の繋がり。がっしり、しっかりした繋がり。ゆる〜い繋がり。繋がり方は千差万別あっていい。だから「独りにならないで」「一緒にいよう」と声を掛け合える社会にしていきたい。
大きなことは言えないけれど、まずは身近にいる人に一言。「一緒にどうですか?」