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【読書】人に歴史あり。自分発信、それでこそ。 ~ くそじじいとくそばばあの日本史 大塚ひかり ~

最近、見たり聞いたりするニュースでは「このご時世でまだそんなこと言ってんのかい??」といった出来事が多いですね。

女性蔑視だったり、頑なに苗字や同性愛否定に拘って血迷ったことを言い出したり、誰もがまさかこんなに長くなるとは・・・と思っている病気の蔓延を「この程度で(ププッ)」と政府御用達の人がペロっと発したり。

大抵は年齢が上の人たち(中には30代位の人もおられますが)で、時間がご自身の若い時の思想で止まっているかのように見えます。

普段から思っていることはポロリンっと出てしまうものなので、当人も「何でこんなにみんな怒ってるの?」と、理解出来ずに困惑、または逆切れに走ってしまいがち。

それでもその人が「立派な実績」だったり「尊敬されるべき人物」だと炎上具合も違ってくるものかと(そもそも人格者なら言葉を選ぶと思いますが)。


そんな中、新聞の新書広告で見かけて本屋に走ったのが、

「くそじじいとくそばばあの日本史」

貪欲に、したたかに、歴史を生き抜いた老人たち、と帯にあります。


自分は地理や歴史に物凄く疎くて、〇〇天皇が何をしたとか、源平合戦やら〇〇の変やら、その名称だけは知っていても内容は知ら内容(どうしても書きたくなりました)といった次第。

でも、表紙が「五月女ケイ子さん・イラスト」だったので、これは面白いに違いないと購入しました。

五月女さんの淑女のお悩みの本もステキです(プチ情報)。


本の中では身分の高い低いに関わらず有名どころの「じじいとばばあ」がアグレッシヴに生き抜いたことが記されています。

昔の人は短命と思っていたのですが、幼児の死亡率が異常に高かったせいで平均寿命が低いだけで、そこを生き抜いた人は結構なご長寿さんがいっぱい。

身分の高い人は生活水準も高かったようで、普通に90歳や100歳を超えている人がザラだったとか。

そうなると現代と同じ、いや、それ以上に身分や地位にかじりつくために策略をする人も続出。今も「見えないところ」で怖いことがありそうですが、昔も結構露骨。

歳を取ったら毒っ気が抜けても良さそうですが、老いてますます血気盛んな人の多いこと、多いこと。

じじいもばばあも、あの手この手で自分のナイスなポジションを堅持するためにあらゆる手段を尽くしています。


お金だったり、騙したり、色仕掛け。

あら、現代と遜色無いですね。


自分としては今で言うところの「熟女(ばばあも含めて)」の話が好きです。いつの時代も容姿が優れていれば優遇されがちですが、道を究めて他者の追随を許さない唯一無二の人も尊敬を集めるもの。必然的にそんな人のところには人も集まり、人づての噂でやんごとない人からのお誘いにまで発展することが可能。

ネットも無い時代に「人づて」で、帝が胸キュンして呼ばれるとか激アツです。

得意気に自分で発信(書き残す)する人もいれば、死の間際(自害とか差し違いとか)、如何に高潔さを持って散って行ったかを敵や巷に伝えるため、トーク力抜群のばばあにその最後をしっかり見せて、敵にその最後の様子を伝えさせるとか凄すぎます。ばばあも凄まじいシーンをしかと目に耳に焼き付けていたと思うと、その情念たるや・・・


歴史を知らない自分でも原語を現代語に置き換えてあったりするので、とっても楽しく読みやすかったです。

たまたま動画で昔話は実はこんな話なのよ、といったものを見ていたので「浦島太郎」は興味深かったです。(歴史の人物じゃないけど)

小林一茶の残したステキな日記(エネルギッシュな内容!)は、ジェームス三木のそれ(懐かし過ぎる)を想起させますが、何だかとっても良い話に落ち着いていて和みました。

自分がこの人たちみたいにパワフルに生きていけるか考えると、実にナヨナヨしていると思い知らされます。

ま、生き方は人それぞれってことで・・。


参考文献や原典が小さな文字で4ページにも渡っています。

これらを全部読み込んでの「くそじじいとくそばばあの日本史」

当たり前ですが、自分は研究者にもなれないと思います・・・(寂)。

こちらきっかけで、歴史上の人物にちょっと親近感や興味を持つことが出来そうな、そんな一冊です。




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