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自分を認めてあげる「肯定的」練習を

トランペットの練習時、目標を持つことはとても大切です。


例えば、リップスラーがかなり苦手だったとして、五線内のソから下のドに移動する練習に取り組むとします。
イメージの中では、それはスムーズに、良い音で、バランスよく移動していても、残念ながら実際にそこまで高クオリティには演奏できなかった、けれど下の音に移動はできた。そんな時、あなたはどう考えますか?

まだまだだ!これじゃダメだ!もっと上手に吹けるようにしなきゃ!

こう感じる方が多いと思います。よりクオリティ高い演奏を貪欲に求めていく精神は上達には不可欠なことで、決して悪いことではありません。しかし、この時自分に投げかける言葉に「否定」を含めないで欲しいのです。

どんなに低いクオリティであってもソからドにスラーで移動できた、そのことを認めてください。これはひとつの目標達成であり、大成功なのです。祝杯をあげるべきです。

そしてその次の目標を「今より高いクオリティで演奏する」に設定します。

ゴールは1つではありません

目標というゴール地点を遠くに1つだけ置いてしまうと、そのゴールに到達する過程を「まだそこに届かない状態だ」と否定的な思考に陥りやすくなります。
本当に目指そうとしている高クオリティのゴール地点を設定することは絶対に必要なのですが、そこまでの過程に無数の小さなゴールも用意してみましょう。

・スラーで音が移動できたゴール
・それが何度もできたゴール
・翌日もできたゴール
・昨日と変化しなかったけど、今日も練習に取り組めたゴール

そのような練習のほうが楽しくないですか?次も練習するぞ、という気持ちになりますよね。
練習には否定ではなく肯定のストーリーでレベルアップに励むことをおすすめします。

注意事項がひとつあります

ただし一点だけ注意して欲しいのが、「最低限の条件」を用意することです。トランペットの演奏は、力でねじ伏せれば大概のことが「途中まで」実現できてしまいます。もう頭の血管が切れるんじゃないか、前歯が折れるんじゃないかってくらい力任せに腹筋を振り絞れば、何か音が出るし、大きい音になるし、もしかすると高い音が出るように感じるかもしれません。

しかし、冷静な皆さんだったらこれが良いわけがない、とすぐ理解されることでしょう。

先ほどのリップスラーに関して言えば、空気圧コントロール、いわゆる腹筋の使い方によってはその先の成長が見込めない分岐点があります。リップスラーはあくまでも舌のコントロール(シラブル)をメインコントローラーにして、空気のスピード変化を促し、それをサポートするための腹筋(腹圧)の力をリンクさせる、と考えないと、乱雑で不安定な音域変化しかできなくなってしまいますし、多分途中でハイノートがでなくなるはずです。

そのような正しい方向を見誤らないように心がけ、その上でひとつひとつの歩みを肯定して進むことで楽しく、自信を持って成長していけるのだと考えています。

でも、そうなってくると自分ひとりで「最低限の条件」を見出したり、今まさに自分の体の使い方やイメージが正しい方向を向いているのかを判断するのはなかなか難しいことです。
レッスンというのはそのためにも存在しています。講師はガイドさんの役割も担っているのです。

実際、今日書いている内容をレッスンでお話する機会も少なくありません。

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荻原明(おぎわらあきら)

荻原明(おぎわらあきら)です。記事をご覧いただきありがとうございます。 いただいたサポートは、音楽活動の資金に充てさせていただきます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。