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合奏やアンサンブルでテンポが遅くなる理由

合奏やパート練習、2重奏など誰かと一緒に音楽を作る際、あらかじめ必ず自分のテンポを設定しておくことが大切です。
「まだ指揮者と合わせていないからテンポがわからないので曖昧にしておく」というのはよろしくりません。まずは「自分はこのテンポがふさわしいと思う」をきちんと持った上で譜読みをしましょう。もちろん、そのテンポにした明確な理由を持っていることが大切です。

実際に合わせた際のテンポが違う可能性があるは当然ですから、それはそれで良いんです。ではなぜ自分のテンポを持っておく必要があるのか、と言いますと、

演奏がどんどん遅くなるからです。

なぜテンポが遅くなるのか

その理由は依存しているからです。

例えば、みんなで一緒に歩いていたとしましょう。あなたは他の人たちがどこへ向かっているのか目的地がわかりません(誰にも聞いていないし、調べてもいないから)。自分の意思もなく他の人の行き先についていく状態だと、当然先頭より後ろに位置することになります。
目的地がわからないので、突然道を曲がられたり、建物に入られたり、よくわからないけど少し足取りが早くなったり遅くなったりしても全部自分の動作が後手に回ります。

もうおわかりですね。これを合奏やアンサンブルで行っていると、いわゆる「縦の線」が揃わないのです。

アンサンブルのアインザッツ

アンサンブル(室内楽)やパート練習のように指揮者がいない場面で作品を作る場合、アインザッツという合図を出す人が必要になります。1stトランペットがその役割を担うことが多いのですが、その際アインザッツを出される側全員があらかじめテンポやこれから演奏する場面の音楽を明確にイメージしているかで完成度が大きく変わります。

多くの場合アインザッツを出す人に「タイミングを合わせよう」と考えてしまいがちですが、それではすでにもう遅いです。先ほどの集団で目的地に向かって歩く場面で、先頭にいる人が「さあ行くよ!せーのー」と足を上げたそれにタイミングを合わせたとしても、どこに向かってどんな足取りで第一歩を踏み出すのかを各自が明確に司会していなければ、やはり全部後手に回った状態であると言えるのです。

アンサンブルは横並び

ですので、一緒に演奏するというのは、みんな横一列になって歩いている状態が基本であると考えてください。
アインザッツを出すのは、いつ音楽が始まるのかを示しているのであって、そこに全ての情報が含まれているわけではありません。ましてやアインザッツする人が他の奏者全員の頭の中の意志をコントロールできるわけでもないのですから(そんなの怖い)、各自が自発的に音楽に参加するように心がけなければならない、ということなのです。

吹奏楽をされている方は特にこれからアンサンブルをする機会も増えるかと思います。ぜひ誰かに演奏を合わせるのではなく、みんな横並びの音楽を作る意識で自発的に合奏してください。


荻原明(おぎわらあきら)

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