号泣させるS・ダルドリー監督にご用心! (2回目のリトル・ダンサー。ネタバレあり) その4
また、2022年オスカー作品賞をとった「コーダ あいのうた」のことも思い出していた。主人公の女の子は、やはりヤングケアラー。
歌がとても上手なのに、家の事情で夢をあきらめなければならなくて、辛いけれどもそれを受け入れようとしたら朗報が舞いこむ。兄が応援してくれるところも、同じ。
もちろん「リトルダンサー」が先の公開なので比べるのもどうかと思うけれど、きょうだいが応援してくれるというのは、なんて心強いのだろう。
改めて才能がある子には、どんな事情があるにせよその芽を摘むべきではないのだな、と思う。それって、もしかして社会的損失に繋がってしまうかもしれない。
そのダンスで多くの人が救われるはずなのに、遮ってしまうのはなんと罪深いことだろう。周囲の人、町、国も、そういう才能をきちんと認めて、葬り去らないで欲しいと切に願う。
それこそビリーの父親の言う、
「ビリーは未来を生きる」
ということだと思うから。
2回観る、というのは案外大切なことなのかもしれない。
今後は、
「一度観たから」
と敬遠しないで色々観るようにしよう。
何しろ。
ビリーがレコードに針を落とし、ベッドの上で飛び跳ねるファーストシーンはインパクト大なので覚えてはいたのだけれど、その時の曲をどこでどう勘違いしたのか、「メタルグルー」だと思いこんでいたのだ。
同じT・REXの曲には違いないけれど、「コズミックダンサー」の方がどう考えてもふさわしい。
「僕は12歳で踊っていた」
という歌詞から始まるのだから。今回記憶を改めることができて良かった。
「リトル・ダンサー」は、ヒューマントラスト有楽町で観た。
その時に知ったのだけれど、フランシス・F・コッポラ監督の「アウトサイダーズ」、「ワン・フロム・ザ・ハート」、「ハメット」(監督はヴィム・ヴェンダースだけど)などもデジタルリマスター版として上映されると言う。
それらの作品は、20代で観たきり、なかなか観るチャンスがなかった。でも大好きな作品たち。まさに2回目を観るべきラインナップなのだ。
今からワクワクしている。また、私の中でのNO1である「ラブ・アクチュアリー」も登場するらしい。ちょうど子育て真っ最中で、映画館から遠ざかっていた頃好きになり、DVDで何度も観た。
ヒューマントラストの予告編でたくさんの人たち(群像劇だから)のシーンがこまぎれにカットインしてきても、すべてどのようなくだりかわかってしまい、それだけで涙目。
このタイミングで、「リトル・ダンサー」と再会できて良かった、と本当に心からそう思う。
ちょうどミュージカル「ビリー・エリオット」(映画リトル・ダンサーの原題もコレ)も上演されていた時期と重なったけれど、いつまでも色褪せず当時のままのシーンは、映画ならでは。
スティーブン・ダルドリー監督に、お礼を言おう。
どうも、ありがとう。