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号泣させるS・ダルドリー監督にご用心! (2回目のリトル・ダンサー。ネタバレあり)
私は、イギリス人のスティーブン・ダルドリー監督が大好き。人間のどうしようもない悲しみや、そこから生まれる希望を本当に丁寧にすくいあげ、最後には出てくる人たち全員を好きにしてくれるから。
とりわけ「トラッシュ! この街が輝く日まで」というブラジルの子ども(なんと素人!)たちが主人公の作品は、劇場で5回くらい観た後にDVDも購入して、何度も観ている。
ほぼ全作品観ているけれど、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」は、初めて観た時に泣きすぎて困ってしまった記憶が強い。
まだサブスク配信は普及していない時代。TSUTAYAの一ヶ月借り放題プランで、貸し借りはDVDを郵送でやり取りしていた頃だったと思う。軽い気持ちで借りて観たら、衝撃が大きくて、いつでも観られるように、とDVDを買ったというのに、またぼろぼろ泣いてしまうだろうから、時を選ばないといけない・・・とまだ観ていない。
宝の持ち腐れ。
もうそのジャケットを見るだけで、多少ウルっときてしまう。
911にまつわる、やはり子どもが主人公のお話。両親のトム・ハンクスとサンドラ・ブロックの演技も忘れがたい。
そんな折。
「リトル・ダンサー」がデジタルリマスター版で上映されているのを知った。この作品も、DVDで借りて観たと思うので、劇場の大きなスクリーンで観られるのは嬉しい、と思った。
それに。
近頃の私は、どんなに頑張っても場内が暗くなると睡魔に襲われてしまう、という悪しき習慣にみまわれている。だから、一度観てだいたいのストーリーを知っている作品だったら、大丈夫だろうと思ったことも、「リトル・ダンサー」を選んだ理由だった。
その心配は、まったくの杞憂に終わることになる。
「あ~、このシーン憶えてる」
と目に飛びこんできたファーストシーンから、どんどん引きこまれて、気づけば号泣していた私だった。
初めて観た時には気づかなかった当時(80年代初頭)のイギリスが抱えていた色々な問題が描かれていた。
サッチャー首相の政策、不況、炭鉱のストライキなどなど。世相とは関係ないけれど、時代ゆえに見過ごされてきた状況も垣間見えた。
母を亡くしている主人公ビリーは、11歳にして認知症のおばあちゃんの世話を任されているヤングケアラーだし、友達のマイケルはゲイであることを公にはできない。
その頃から、かれこれ40年の時が流れていることを、静かに納得するのだった。