私のワーケーション体験について
「ワーケーション」という視点で自分自身の経験や考えていることを書いてみます。あくまでも個人的意見ですが・・・
1, ワーケーションの体験
正確にいうと「ワーケーション」とは呼べないかもしれませんが、私のここ数年間の体験を書きます。前述のようにフル・リモートワークになって、自宅マンションに籠る期間が続きましたが、実家の両親が高齢になって体調が悪い状態が続き、介護の必要が生じた為、故郷(新潟県新潟市)に長期間滞在することになりました。
実家は郊外の海沿いの住宅地にあって、夏場は「リゾート」と呼べないこともないですが、観光地ではありません。冬場は昔に比べて減ったとはいえ、雪が降れば積もります。
基本的にはリモートワークの場所が実家に変わっただけ、という感じでした。朝起きて朝食を用意してあげて、リモートワークして、昼食を用意してあげて、リモートワークして、合間に洗濯や買い物をして、夕食を用意して一緒に食べて、団欒して、必要があれば夜またリモートワーク(手に個人作業)というルーティン。何十年かぶりに実家の家族(父母、弟)と長い時間を一緒に過ごすことになりました。天気の良い日は近くのビーチ沿いの遊歩道を散歩、夕焼けが綺麗です。仕事部屋は実家の片隅の客間を使わせてもらいました。机も間に合わせのもの。
病院や介護施設への送り迎えは休みの日に弟がマイカーでするか、タクシーを使うか。やむなく救急車で救急搬送してもらったことも数回ありました。基本的に車社会になっているので、大きなショッピングセンターなどは車でないと行けない場所にあり、近所には「買い物難民」の高齢世帯が沢山ありました。
自分は高校を卒業して東京に行って、そのまま東京で就職したので、夏休みなど以外で実家に長期滞在したことはなく、久しぶりの同居生活でした。親孝行になったのならいいんですが。生活環境が変わったので、新鮮といえば新鮮ですが、もう学生時代の友達とも疎遠になっていて、知り合いがほとんどいない環境。
ワーケーション的なことで言うと、新潟はスーパーマーケットで買う食材でも東京より美味しく、家族の為に料理をするのも楽しみでした。野菜やキノコ類、魚、肉なども鮮度が良くて味が濃い気がします。米の美味しさは当然。新潟でワーケーションというイメージはあまり無いかもしれませんが、日常生活を楽しみながら、リモートワークする場所としてはアリかもしれません。
私は利用しませんでしたが、街の中心部の繁華街は残念ながら寂れていて、空き店舗にリモートワークに使える施設もポツポツ出来ているようです。快活CLUBみたいな店もロードサイドには沢山あります。
自分の仕事の話に戻ると、家族との久しぶりの穏やかな暮らしの中で、安定した精神状態でリモートワークが出来たので、集中して行う作業もはかどりました。オンラインでのメンバーとの打ち合わせや共同作業も前述のように慣れていたので、支障は無く、どうしてもペーパーレスになっていない業務は書類を郵送してもらって処理しました。東京でリモートワークしていた時は数ヶ月に一度くらいはオフィスに行って顔合わせや飲み会をしていましたが、ワーケーションに移行してからはまったくオフィスに行かないのが前提でした。
ワーケーションを実践しての学びは・・・
・自然豊かな場所で暮らし、働くと精神状態が安定する
・良い食事が健康状態に貢献する
・意識して運動(主に散歩)をすると寝起きが良くなる
・場所はどこでも一番大事なのはネットワーク環境(速度、安定性)
・地方都市の現状が見えて、リアルな日本の課題が見えてくる
・地方都市の高齢社会化を実感出来る
・SNSとかの浅い情報に左右されなくなる
・東京にあって地方都市には「無い」ものが分かる
などなど。
買い物以外で人のいる場所に出かけることもほとんど無いので、着るものは持っていったTシャツやパーカー、ジーンズで事足りて、何か買うこともありませんでした。そういう欲は薄れますね。髪の毛も1,000円カット。
地方なので、娯楽といえば・・・
・郊外のロードサイドには巨大なイ○ン・モールがあり、そこには東京の街にあるようなテナントが何でもあります。上記のようにあまり買い物でストレス発散という気分にはなりませんが。
・実家からの徒歩圏内に快活CLUBが1軒
・ビーチ沿いの遊歩道の先に雰囲気のいいカフェ
https://tabelog.com/niigata/A1501/A150101/15017705/
・夏は隣町のビーチに「海の家」が
https://sekiya-beach.info/beachhouse/
・中心街の繁華街では頻繁にイベントが(寂れかけているので、活気つけようと頑張っている)
https://niigata-furumachi.jp/event/
・中心街に鮮魚センター(回転寿司でも東京より全然美味い)
https://www.bandai-nigiwai.jp
色々あると言えばあるし、無いと言えば無い・・・
2, ワーケーションについての個人的意見
実際にはまだまだ言葉がひとり歩きしている状態なのかと思います。
実はもう25年以上前に高校の同窓会があり、久しぶりにあった友人(高校で一緒にバンドをやっていたギタリスト)はシステム開発会社のマネージャーになっていました。「開発プロジェクトが大詰めになると、資料を全部抱えてタイのリゾート地のホテルに缶詰になって、集中して作業するんだ。全部自腹だけど、満足している」と言っていました。まだまだ海外とのネットワーク環境なんて未整備だった頃。今考えると、まさに「ワーケーション」でした。
そうやって、会社の制度やIT環境が整う以前でも個人の工夫で「ワーケーション」をやって仕事の成果をあげていた人は実はけっこういたんでしょうね。休暇を取って時間を確保していたはずなので、費用も含めて全部自己責任の範疇。
で、「ワーケーション」という言葉も出来て、法制度も徐々に整備されて、企業としても制度を整備して、IT環境も整って、地方自治体側も受け入れ体制や支援制度を準備して・・・というところですが、本当に定着して、むしろ「ワーケーション」なんて言葉が無くなってしまうくらい当たり前のことになるにはまだまだ時間が掛かる気がしています。
ケース別に考えをまとめてみると
・例えば個人事業主(流通業やサービス業以外)や企業の中でももっぱら個人作業に専念している人の場合:
これの場合は迷わずワーケーションを経験してみるべきだと思います。オフィスでやっている作業をリモートワークに切り替えるだけなので、制約は少ないし、上記の「学び」にあるようなメリットは沢山あります。
自宅/ホームオフィスではなく、敢えて「通勤」して別の場所(オフィス)で仕事をする理由は「モードを切り替える為」や「家族と一緒にいると効率が上がらないから」などかと思いますが、その「別の場所」を思い切って環境の良い遠隔地に変えることでちょうどいいバランスが見つかるかもしれません。「モード」は切り替えっぱなしになりますし、家族のことも気にならない、あるいは家族を連れていっても自由に遊びに行ってくれるので、ストレスフリーです。
下記でまとめたように「街のオフィス化、オフィスの街化」みたいなことも自然に出来ると思います。都会にいると意識しなくても目や耳に入ってくる情報量が膨大で、それが良い刺激になることもありますが、ノイズになることも多いですよね。ワーケーションでは圧倒的にその情報量が減ります。
受け入れ先候補は沢山あるので、最初はまず休暇/旅行のつもりで短期間行ってみて、効果が実感出来たら次は滞在期間を延ばして、将来的には二拠点生活に移行する可能性も。
(続きます)