理想的な栄養バランスとは
こんにちは。株式会社アスクレイ代表取締役/医学博士の松田 俊哉です。
今回は理想的な栄養バランスについてお話します。
理想的な栄養バランスとはどのようなものなのでしょうか。
今回はいつもより少し長いですが、お付き合いください。
糖質は食事で摂らなければならないのか
食事で糖質を摂らなければならないと言われる方がいらっしゃいますが、それは果たして本当でしょうか?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、日本人の理想的な食事の栄養バランスとして、1日に必要なエネルギーの50~65%を炭水化物から、13~20%をタンパク質から、20~30%を脂質から摂ることを推奨しています。
ただし、その「日本人の食事摂取基準(2020年版)」中の炭水化物の説明で、
と掲載しています。
また、指標設定の基本的な考え方の項では、
とあります。
糖質は体内で合成されないので、理論的には食事での糖質の摂取量が0であれば血糖値は0になります。
しかし、どんなに糖質を厳しく制限しても摂取量は0にはならないので、糖尿病の治療を受けていなければ、低血糖を起こすことはまずありません。
また、普段は糖質が体のエネルギー源となっていますが、糖質の摂取量が減ると、体内で蓄えられた脂肪が燃焼されてケトン体というエネルギー源を生み出します。
食事で糖質を摂らないと脳が働かないと考える人もいますが、以上のことからそれは間違いだということがわかります。
脂質の摂りすぎは健康に悪いのか
また食事での糖質の摂取を減らすとその分脂質が増え、その脂質が健康に悪いと考える人も多いです。
しかし、近年では食事の脂肪を減らしても健康に良い影響はないことが明らかになってきています。
2011年のアメリカ心臓病学会の科学声明で脂肪摂取を少量にするよりも、中等量にしていたほうが血中の中性脂肪値が良好である旨の記載がされています。
ですので、糖質制限の結果、脂肪摂取量が増加しても心配いらないと考えられます。
正しい栄養バランスとは
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で、炭水化物の目標量の策定方法については、
とあります。
つまり、一日に必要なエネルギーから、たんぱく質と脂質で最小限摂らなくてはならない量を差し引くと、糖質で摂らざるを得ないエネルギーが求まるという考え方をした場合、糖質が50~65%必要となるとあるのです。
また概要欄には、以下のような記載もあります。
脂肪酸の目標値については、
としており、目標量の策定方法にも、
とあります。
つまり糖質、脂質どちらもはっきりとした目標値は示せないということです。
また、アメリカの医学アカデミーはたんぱく質、脂質いずれについても最大耐用量(これ以上摂取してはいけないという量)は設定できないと明記しています。
そもそもたんぱく質や脂質を最小限に抑制しなければいけない理由はないからです。
このようによく言われる理想的な栄養バランスの値というものは、とても曖昧であることがわかります。
食事に糖質が必要であるというのは、これまでの食事習慣からくる思い込みだといえますし、糖質制限による脂質摂取量の増加も心配はいらないと考えられます。
それぞれの人の状態に一番良い栄養バランスを考えるのが必要であり、万人に向かって勧められる「理想的な栄養バランス」というものは存在しないのではないでしょうか。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
糖質制限アプリは、皆様の糖質制限生活を応援しています。