2022.12.22 Acid-Base Balance 〜まだ生きてる〜
アドベントティーも残り三つです。
朝から冷たい雨。
空も暗く、どこかもの悲しい。
今日は冬至です。
冬至は大好き。
なぜって、これから一日一日、日が長くなっていくのですから。
しっとり静かな夜も好きですが、やはりおひさま恋しい。
オレンジの空はゆっくり暮れていって欲しい。
死ぬかもしれない
昨日のお昼前、母が慌てた様子で階段を下りてきた。
「お父さんが、死ぬかもしれない、長い間、ありがとうって言ってるんだけど」
父94歳は、足腰がだいぶ弱って、家の中でも杖を頼りに移動している。
ベッドと、寝室内にあるトイレとデスクを日に何度か行ったり来たりするのがやっと。
それでも自力で歩けるので、介護認定は要介護1にしかならない。
食事は、好きなものをごく少量食べているが、どんどん痩せて、もう50kgを下回った。
お風呂にも入れないので、医療用の清拭布などでケアしている。
訪問医には、再三ヘルパー派遣を勧められているのだが、母が自分でやるからいいと言って、これまで断ってきた。
そろそろ限界かもしれない。
父の様子を見に行くと、うっすら目を開けるものの、声が出ない。
話せない。
今までと違う感覚があるのだろう。
どこも痛くも苦しくもないのが救い。
急いで訪問医に連絡すると、医師は明るく笑いながら、
「大丈夫大丈夫。一時的なものだから。まだまだ大丈夫。また何か様子が変わったら連絡ください」と言う。
月曜日に診察してもらったばかりなので、おおよその見当はついているのだろう。
不安だけれど、血圧を測ったり、酸素濃度を測ったりしながら様子を見ることに。
まだ生きてる
午後になると、父は、自分で立って歩いてトイレに行ったという。
「「まだ生きてる」と言いながら、トイレに行ったのよ」と言うので、笑ってしまった。
おとうさん。
まだ生きてるって。
それはそうよ。
死なない限り、生きているの。
死んでしまったら、「まだ生きてる」とは言えないからね。
生きてる。生きてる。
まだ生きてるよ。
ホッとしたのも束の間
お昼にはもう何も食べたくない(死ぬかもしれない)と言った父だが、夕飯は食べたいと言うので、母がキッチンで支度している時に事件は起きた。
父が、食事のために一人でデスクへ行こうとして、足を滑らせ、仰向けに転倒したのだ。
頭と骨盤を強打。
そこから母と二人で父を抱えて、ベッドに寝かせるまでが一苦労だった。
介護職の皆様、自宅で介護をしているご家族の皆様、本当にお疲れ様です。
偉いです。
尊敬します。
腰を痛めたので体を起こすのがつらく、寝たままでは食事も難しいので、せっかくの夕飯は取り止め。
水分をとって、プリンを一口二口。
訪問医かファストドクターを呼んで、簡易レントゲン検査やエコー、あるいは心電図などをとってもらおうかとも思ったが、父の意識ははっきりしているし、「死ぬかもしれない」と言った直後とはまるで違い、しっかり喋る。
このまま安静にして、明日の朝の様子で対応を決めることにした。
朝の洗髪
目が覚めて、朝食の支度をしていたら、早速母が下りてきた。
「お父さんが起きるって言ってる」
母一人では起こせないので助っ人。
だが、手を貸すと言っても、できる限り自分でなんとかしたい父は、手を出すなという。
父のペースに任せておくと、まあ時間がかかる。
じっと待つ。
何とかキャスター付きの椅子に移動させて、「そこからは押すよー」と母は言うのだが、それもだめ。
自分の足で漕いで、腕の力で押して、ベッドから机までたどり着きたいのだ。
何とか達成すると、満足そうな父の笑顔。
朝食の後、起きられたついでに髪の毛洗っちゃおう、ということで洗髪。
両親の寝室には洗面トイレがついていて、お湯も出るので、バケツを使って案外簡単に洗えた。
さっぱりしてよかった。
乾かそうと思ったら、母がくるくるドライヤー持ってきたので笑ってしまった。
洗髪して
くるくるドライヤー
どうするの
お母さん、髪が
ないよ、お父さん
涙あり、笑いあり、笑いあり、笑いあり
朝の洗髪を済ませてスッキリした父、昼にまた起きて食事をすると言うので(絶対にベッドで食べないあたりが、海軍エリート軍人の息子たるゆえ?)母と二人で移動させる。
これからこんなことの繰り返しなのだろうなあ。
痩せて軽いとはいえ、45kgそこそこの私が父を抱えて持つのは重い。
母は40kgちょっとしかないと思う。
なかなかの重労働。
でもまあ、父には、今回打撲した腰を、リハビリしてよくするという気力があり、「死ぬかも」と言ったわりには、生きることを諦めていない。
今日も生きている。
まだ生きてるよ、おとうさん。
明日も生きるよ、おとうさん。
泣いたり笑ったりしながら、最後は笑って笑って楽しく生き切ろう!
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