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東京ブラック歴史散歩

 長い歴史を持つ東京には、多くの歴史名所があります。筆者も城郭や寺社をめぐるのが好きですが、少し趣向を変えた散歩もしてみたくなりました。

 すなわち、悲劇的な歴史や犯罪にかかわる「ブラックな史跡」です。筆者にとって近所である、台東区三ノ輪~荒川区南千住~葛飾区小菅の周辺を歩いてみました。

「投げ込み寺」浄閑寺

 三ノ輪にある浄閑寺は、遊郭のあった吉原の近く。身寄りのない遊女が死ぬと遺体が投げ込まれ、寺は無縁仏として葬りました。

”生まれては苦界 死しては浄閑寺”という川柳で知られています。

円通寺の吉展地蔵

 南千住の寺院で、坂上田村麻呂の開基と伝わります。戊辰戦争で新政府軍と戦った彰義隊士の墓などもあります。

 変わった名所として「吉展地蔵尊」というものもあります。1963年に発生した誘拐事件「吉展ちゃん誘拐殺人事件」は、名刑事・平塚八兵衛が解決したことで有名です。被害者の遺体はこの円通寺に埋められていました。

 事件当時4歳だった被害者を弔うため、地蔵尊が建てられているのです。 

延命寺の首切り地蔵

 南千住駅の近くにある延命寺は、江戸時代には小塚原の処刑場がありました。明治時代に廃止されるまで、磔や火刑、斬首といった刑が執行されました。

 刑死者の霊を弔うために建てられたのが、延命寺の「首切り地蔵」です。

南千住回向院に眠る人々

 小塚原処刑場に近かった南千住の回向院には、刑死・獄死した多くの人が葬られています。最も有名なのは、安政の大獄で処刑された吉田松陰でしょう(処刑地は小伝馬町)。

 回向院には、同じく安政の大獄で刑死した橋本佐内や頼三樹三郎、獄死した梅田雲浜、盗賊の鼠小僧次郎吉、二・二六事件首謀者の磯部浅一らが葬られています。

東京拘置所の重要文化財?

 南千住駅から鉄道で2駅、小菅で下車します。小菅の有名な場所といえば東京拘置所でしょう。判決が未確定の未決囚や、死刑確定囚らを収監しています。

 東京拘置所の旧管理棟は、1929年に竣工した近代建築であり、今年重要文化財に指定されました。

 遠目にうかがうことしかできませんが、「翼を広げた白鳥のような形」と形容されています。

 東京拘置所では、永山則夫・宮崎勤・麻原彰晃など著名な犯罪者の死刑が執行されました。先ほどの吉展ちゃん事件の犯人・小原保の刑も同様です。

下山国鉄総裁追憶碑

 1949年7月、国鉄総裁の下山定則が行方不明となり、常磐線綾瀬駅付近で轢死体となって発見されました。戦後を代表する怪事件・下山事件です。 

 遺体発見現場からやや東寄りの高架下に、下山国鉄総裁追憶碑があります。自殺か、他殺か――下山事件の真相は現在も不明であり、多くの人の心を惹きつけています。

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