春も夏も秋も冬も -便り-
春も夏も秋も冬も
肺の辺りが頑なで
深呼吸もままならない
無邪気な空気を伝える文字に
異世界を思い
得体の知れない肺の辺りを
抱えながら無口になる
気配ばかりが歩を刻み
振り向こうにも首が回らず
捨てられずにいるわだかまりなど
語るに落ちる・・と
襖の奥に押し込めて
眼球(ひとみ)の底から重くなる
終りにしたい「思い」だけが
言葉にできずに先走る
しあわせを売ってくれる貴方に
払える対価が
手紙と一緒に掌(て)をすり抜けて
途方に暮れて
頬を抱き
それから
得体の知れない肺の辺りを
抱えて
無口になっている