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よみあとんと(読書記録8)

こんにちは。とんとです。

久しぶりの今回の記事は、サイエンスブックライターの秀逸な着眼本の読み跡(よみあとんと)です。

よろしくお願いします。

とりあげる本は、
アビゲイル・タッカー『猫はこうして地球を征服した』(インターシフト 2018)です。




<短めな紹介文>

 ネコ科で言えば、イエネコの他にも、ライオンもトラもサーベルタイガーも含まれていますが、本書は多くの部分を「イエネコ」に焦点を当てて書かれています。
 イエネコが如何にしてヒトを手なずけ、現在のような生態に至ったかを、歴史的、生物学的、動物行動学的研究からの考察をもとに記事を書いた「ニャン」(ノン)フィクション本です!

 

<読後の感想>

 最初、本書をどこかの本で知った時に思ったことは、次のような疑問でした。それは、イエネコの愛くるしさに支配されている人間が、いつからそうなったのだろうか、というものです。

 この「いつから」という疑問には、本書でもしっかりと書かれていますし、簡単に言ってしまえば、出会ってからなのだと再確認できました。

 イエネコは、他の家畜動物とは違って、唯一自分たちからヒトに近づいていったという点が、生物史における大きなターニングポイントだったのだなと、現代の地球を見てみると変な感慨に入り浸ったりしてしまいます(笑)
 

 インターネットをも支配したのは、最近の猫ミームの登場からも、際立っていますが、日本で猫ミームが流行るずっと前に欧米では猫がネットを席巻していたんだろうなと思いました。それは、そもそもエジプトでネコが「バステト女神」として崇められていることからも伝わってくるものがあるからです。

 また、生態系の支配が深刻ですということが、本書でもやはり指摘されていました。アメリカの保護区の動物がイエネコにやられてしまったり、オーストラリア政府のイエネコ忌避と対策はかなり本格的に法的措置として実施されていると知りました。

 世界中にいるイエネコは、船乗りとともに(おそらく15世紀頃からの大航海時代で)海を渡って来たのですが、その航海に伴って、ヒトとともに在来種を根絶やしにしたという出来事もあると想像すると、結構恐ろしいです。


 ですが、アラーもネコを愛したそうですし、我々現代人もネコを愛さずにはいられないと思います。もはやネコ無しでは人類はやっていけないのではとも思います。
 

 そんなふうに、私は本書を読んで、ネコとヒトの行く末を考えたりしました。 


<振り返り>  

 振り返りとしては、ネコのうんちくがたっぷり溜まる!そんな本だと思いました。

 私もネコを飼ったことがあるので、ネコの愛くるしさは十分に分かりますし、こんなに身近にいて癒される存在はそうそういないと思います。

 そんなネコの「知らない真実」を本書で知ってしまったので、複雑な気持ちにはなりました。

 ですが、やっぱりネコは可愛い。

 癒やしの仮面を被ったしたたかな共生者であるネコ。

 我々はすっかりネコに手なずけられてしまっているんだなあと思いました。

 今回は以上です。

 それではまた。ご一読頂きありがとうございました!

とんと

<キーワード>

・ネコに対する独創的な説明
・自ら「選んだ」飼われる道
・ヒトはネコ科に食べられて進化した
・ネアンデルタール人とネコ
・イエネコの祖先
・ネズミ退治には役立たない
・ベビー・リリーサー
・航海で進出したイエネコたち
・トキソプラズマの宿主としてのイエネコ

<キーパーソン>

・ロバート・サスマン(1941-2016)
アメリカの人類学者。
著書『ヒトは食べられて進化した』(化学同人)を読んでみたい。


・コンラート・ローレンツ(1903-1989)
オーストリアの動物行動学者。刷り込みの研究で有名。
著書『ソロモンの指輪 動物行動学入門』など。


・スティーブン・ジェイ・グールド(1941-2002)
アメリカの古生物学者、進化生物学者、科学史家、地球科学者。
著書『パンダの親指』はむかーし読んで感動しました。

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