電子書籍は一度買ったら売れないのです。
私がたくさん本を読むようになった当初は、本屋で眺めて気になった新品の本を、特に値段も気にせずにドンドン購入しては読みこなしていった。
その当時の私としては、「本ってこんなに情報密度が高いのに、たった1000円で買えちゃうの!?安すぎない!?」と思ったからだ。
それまでほとんど本を読んでこなかった私は、修士1年になってやっとその事実に気づくことになったのである。
最近はさすがにその傾向は落ち着いてきて、ある程度は気になったテーマの中から吟味して買うこともあるが、基本的には気になった書籍はお金に糸目をつけず、躊躇せずに購入するようにしている。
しかしながら、そうやって現物の本を手当たり次第に買っていると、自宅の部屋や研究室に本が溢れるようになってきた。
そういう本たちをうまく整理して、手元に残す価値があるものだけを何とか残して、あとは売ってしまったり、どこかに寄贈してしまおうと思っている。
と、そのように考えて気づいたことがある。
それは、実際に購入して手元にある書籍は、古本屋やフリマサイト・アプリを使えば売ることができる一方で、電子書籍の形態で購入した書籍は、現状ではそれを売ることができない、ということである。
さらに言えば、現物の書籍を購入すれば、それを売却したときの売値を考慮すると、実質的には買値との差額分だけでその知見を吸収することができるが、現状のシステムでは、電子書籍を購入してしまうと実質的にはより高額になっている、ということだ。
私は一体なぜこんな単純な事実に今まで気づかなかったのだろうか。
確かに私にとっては書籍代は必要経費だから、いくらであっても購入はするのだが、電子書籍の方が安く知見を手に入れられるとばかり考えていた自分の先入観がちょっと恐ろしくなった。
しかし、これからの世界は、きっとこういう電子データがNFT化していって、不正にコピーされたりすることが無くなれば、適正に売買することができるようになるだろう。
あくまで今は時代の過渡期にいるに過ぎないのではないか、と思う。
いずれにしろ、書籍はどのような形態になったとしても、情報密度の高い情報伝達ツールとして生き続けることは確かであると思う。
やはり、文字は人類最大の発明だ。