見出し画像

生涯投資家④「2人の逮捕者」

トモーロです。

今回で生涯投資家の解説は最後になります。前回は、フジサンケイグループの説明と親会社のニッポン放送よりも子会社であるフジテレビの価値の方が大きくなり、いびつな構造にあるという話をしていきました。

そして、そこに当時ライブドアの社長であった堀江さんが村上さんにニッポン放送の株を買おうと思っていると電話で話したところまで解説していきました。

本日は、その続きと我々が知っておかなければいけないことを書いていきたいと思います。

それではいきましょう!


【ライブドアがやってくる】

ニッポン放送は、財界のバックアップを受けた会社であり、かつフジテレビが50%以上の株式取得を目指してニッポン放送に対するTOBをおこなったことでニッポン放送の価値が薄まり始めたのもあり、買収する企業は現れないだろうと思っていた。

そこで、ついにやってきました。それがライブドアでした。ライブドアは、リーマンショックで有名なリーマンブラザーズに対してMSCB(転換価格修正条件付転換社債)を発行して資金調達を行いました。

MSCBとは、所有者は持っている社債をいつでも発行会社の株式に転換できると言ったような手法です。当時のライブドアはこのようにして資金を集めました。しかし、このMSCBは発行した側の株主利益が損なわれる可能性があるものでした。

こうして資金集めに成功したライブドアはニッポン放送の株を大量に保有することとなりました。

ライブドアとは、元々「オン・ザ・エッヂ」という会社で株の分割を行い、資金を集め、企業をどんどん買収して大きくなっていった会社でした。なので買収は得意分野でした。


【ニッポン放送がおこなった作戦】

株をライブドアに大量に持たされてしまったニッポン放送は、クラウンジュエルを行いました。クラウンジュエルとは、敵対的買収を仕掛けられた企業が自身の保有する財産や事業を第三者や子会社に売却することです。

ニッポン放送は、フジテレビの株式をSBIに5年間の貸株として、ニッポン方その価値を下げたのです。

結局、この戦いはライブドアが保有するニッポン放送株式を全てフジテレビに売却するという結果に終わりました。村上さんはこれら一連の流れを上場企業としてあるべき姿とはほど遠いものだと語っています。

さて、これらの騒ぎで村上さんと堀江さんはだいぶ目立ち過ぎてしまいました。


【逮捕】

これらの騒ぎの後、村上さんは堀江さんとの電話のやりとりがインサイダー取引にあたるとして逮捕されてしまいます。

一方の堀江さんは、ライブドアのニッポン放送の株式大量取得により、世間は完全に「新興企業のテレビ局乗っ取り」というイメージのみが強調されました。それがフジテレビというメディアを通じてどんどん発信されてしまいます。

そして、ライブドアの株の分割を行って企業をどんどん大きくしていった、そのやり方に粉飾決算があったのではないかと疑いをかけられ、証券取引法違反の容疑で逮捕されてしまいます。

この事件において、村上さんが一番悔しかったところが派閥やプライドといったことが日本経済を揺るがしたこと。最初から最後まで株主の視点が無視されたことが非常に悔しいところだと述べています。

議論のポイントはたくさんあった。それを取り上げることでコーポレート・ガバナンスの理解はより深まったはずだと述べています。


【東京地検の意向次第】

このライブドア事件について、フリージャーナリストの池上彰さんは、別の本で面白いことを書いていたので少し紹介させていただきます。

まずの2人の逮捕が国策捜査によるものではなかったのかという声が上がっていたということ。彼らが逮捕されてしまったポイントは2点。

・世間を騒がせて目立ち過ぎたこと
・国の既得権益を脅かしたこと

これらの点を踏まえて、日本では東京地検の意向次第で逮捕されてしまうことあるのではないか。それを池上さんは「けしからん罪」と呼んでいます。

実際に、村上さんと堀江さんの電話のやりとりがインサイダー取引になると言われると微妙なところであり、粉飾決算についてもこの事件後に某大手証券会社で粉飾決算が明るみに出たが、東京地検特捜部は動かず、その証券会社は今も堂々と営業しているという。

さあ、この事件について皆さんはどのように考えるでしょうか。


【本日のまとめ】

いかがだったでしょうか。本日は、少し私も怖いのですがとても面白いと思ったのでライブドア事件のことを取り上げさせてもらいました。

非常に難しい事件でした。お金や株、会社のことについて当時の人々がどれだけ正しい知識を持っていたのか。IT企業に対してどれだけの理解があったのか。

もし、私たちのお金や会社、コーポレート・ガバナンスの理解が深まっていたら、「新興企業のテレビ局乗っ取り」という認識ではなかったのかもしれない。

色々な解釈ができると思います。なので、ぜひみなさんにもこの事件について知っていただき、ご自身でお金ってなんなのか、コーポレート・ガバナンスとはなんなのかを考えていただけたらなと思います。

では、また👋


ここまで読んでいただいてありがとうございます。この「トモーロの部屋」noteでは皆さんの学びのきっかけになるような記事、そして仕事に役立つような記事を中心に書いています。

もし、気に入っていただけたのであればスキ、コメント、フォローよろしくお願いいたします。


いいなと思ったら応援しよう!

トモーロ
もし読んで面白いと思っていただけたらサポートしていただけると嬉しいです。 サポートしていただいたお金につきましては、質の高いアウトプットのために本の購入や費用に使い、よりよい情報発信をしたいと思います。

この記事が参加している募集