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関心領域 The Zone of Interest

インストゥルメンタルのCDアルバムを聞き終えた感じ、観終わった直後はそう思った。
ストーリーやセリフに分かりやすく訴えてくる要素もないし、高ぶりも展開もない。
でも時間が経ってふと映画のシーンが浮かび上がって胃が重くなる気分を味わった。

日常のなかで無関心を装うことがある。僕は無関心を装うタイプではないけど、それでも無関心を装うことはある。前置きとして「関心があるのに…」ということ。
関心の外にあることこそ恐ろしいと映画は伝えていた。

亡き祖父母が若かった頃だから僕には大昔とは思えない時代、民主的に選ばれて君臨した国家のトップ、ヒトラーによる大殺戮があった。根拠となる民族純化の思想をどれぐらいの市民が支持していたのか、本当のことはわからない。今さら調査したってわかりっこない。
映画のモチーフは、100万人近くが殺されたアウシュビッツの悪夢なんだけど、世界中で今も「正当化された大量殺人」が継続している。

無関心領域を見る恐怖は日常にも存在する。無邪気と隣り合わせで起きている暴力は、分かりやすいパワーバランスに沿っているとは限らないし。


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