ともたか

読書、映画、旅行、ワイン、歴史、サッカー… その時その時の気まぐれな散文でも、読み返して自分を俯瞰する、みたいなことが楽しくてnoteを公開しています。

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    映画に関わるエッセーです

  • やっぱり本はアナログがいい

    どんな本を読んできたかを辿ると気づくことがある。

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    旅日記、旅雑感

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    写真を使っていただいている記事をまとめました

最近の記事

「ぼくとパパ、約束の週末」

幼い頃から自閉症と診断されていた10歳のジェイソン。 独自のルーティンやルールが少しでも崩れるとパニックを起こしてしまう日常。彼への接し方、普通学校に通わせることなど両親の困難は絶えない。 ひょんなことから彼は、ドイツ中の56のスタジアムを周って贔屓のサッカーチームを探し出すと言いだす。そして週末ごとの父親との試合観戦の2人旅が始まった。 映画公式サイトのコラムの一節。「精神科の現場で使われている診断名でいうと『自閉症 スペクトラム障害(AutismSpectrumDiso

    • ポール・オースター「偶然の音楽」と、既視感

      消防士のナッシュ。 30年間会っていなかった父親の遺産が彼に転がり込んできた。妻が家を出、2歳の一人娘を姉に預けたばかりだった。 赤いサーブで行き先の無いドライブを始めた。 人生は偶然の連続だ、刹那を受け入れて生きるんだというメッセージが、実は冒頭に集約されていた。 ドライブを終えたナッシュに訪れたのは、若い相棒と二人で広大な地に塀を作るために石を積む肉体労働の日々。 そしてまたひとりになった彼が、手放したサーブのハンドルを再び握る。 物語は突然幕を下ろす。 赤いサ

      • なぜ「ワールドシリーズ」?

        熱心な野球ファンではないけど、「メジャースポーツ=野球」の世代だし、95年にドジャースタジアムで野茂英雄登板の試合を観たのはちょっとした自慢。 それはそうと。 なぜ「ワールドシリーズ」?オカシイよね、ずっと思っていた。 だってアメリカのメジャーリーグのチャンピオンを決めるのに、世界一決定戦的大会名称。アメリカNo.1こそ世界一なんだよと発信する高慢さはいいけど、大会名称が「ワールド」はないんじゃないか。アメリカチャンピオンシップとかでいい。 日本は言えないのかな? 日米地

        • ベルリンのユダヤ博物館へ行ったことを今になって書き留めたくなった

          読もうと思いながらずっと読んでいなかった「夜と霧」(V・E・フランクル著)をさっき読み終えて、7月にベルリンのユダヤ博物館へ行ったことを今になって書き留めたくなった。 ユダヤ人収容所から生還した心理学者による体験記。極限状態の非収容者の描写や心理学者らしい解釈は、生きる意味について考えさせられる。 読後、ベルリンのユダヤ博物館で思いかけず涙を流してしまった出来事を思い出した。 7月、僅かな滞在時間だったけど、東西冷戦の壁絡みのモニュメントやアート、戦争遺構が点在するベルリ

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        記事

          研ぎ澄まされる聴力

          視覚障がいの人の多くが点字を理解していない、ということを知って驚いた。 「目が見えない」ことについての見識に欠けていたことを改めて感じたのは、ブラインドサッカーの元日本代表選手の男性Kさん(39)と話す機会が先週あったから。 Kさん曰く「僕は点字はわからないです。視覚障がいの人は生まれつき、という人より年齢がいってから見えなくなった人のほうが多いんです。大人になってから点字を覚えるというのはあまりない」 彼にスマホの使い方を見せてもらって、また驚いた。 待受画面の日付のと

          研ぎ澄まされる聴力

          ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人

          一気に読んだ。文句なしに面白かった。 子供の頃、外国はアメリカのことだと思っていた。たとえば庭付きの広い家、恋愛や性のことを親に相談しちゃうような感じ。僕の世代なら共通する感覚だったと思う。 大人になってアメリカ、アジアやヨーロッパへも旅するようになり、訪ねた国々の歴史や文化に興味を持てば持つほど、世界一新しい大国・アメリカ合衆国は、その個性というか異質な何かが「仲間外れの外国」という感じで僕は捉えるようになっていった。 産業革命の頃にアイルランドから来てアパラチア山脈

          ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人

          僕の「エンド・オブ・ライフ」

          寝つかれずにベッドでスマホを使って書いている。初めてのことだ。 夕方、ノンフィクション作家の佐々涼子氏死去のニュースを知った。悪性脳腫瘍で闘病されていたことすら知らなかった。 熱心なファンでもないのにこのモヤモヤというか、喪失感。 少し前に彼女の「エンド・オブ・ライフ」を読んでいた。患者に接する緩和ケア医らに密着したノンフィクション。 読後に、どういうことを書こうかと思いながら書けなかった、というか、少し間をおいてから、と思ったままだった。 どすんと重しのような言葉もあり

          僕の「エンド・オブ・ライフ」

          vpnアプリを海外で使ってみた

          VPNという言葉は在宅ワーク普及とともに身近になり、最近では手軽なVPNアプリの存在が気になっていました。VPNは、Virtual Private Networkの略です。 そこで、先日のヨーロッパ滞在の際に”1か月利用で12.95ドル”というプランに申し込んで体験してみました。 1か月利用で12.95ドル誰に薦められたわけでなく、「VPNアプリ」で検索しレビューなどを見比べて申し込んだのはExpressVPN。 「12カ月申し込むと月額6.67ドル、なおかつ3か月無料」と

          vpnアプリを海外で使ってみた

          千早茜の「ひきなみ」

          瀬戸内海の島で出会った少女二人の友情の話。シンプルにそう言い切ってしまいたい。 僕は、小学校低学年の頃の感情の記憶を呼び起こさせられた。 仲良しだった友達への嫉妬、仲良しが故に聞きたくても聞けなかった家庭の事情。あれは友情だったのか、憧れだったのか。 凪いだ海を走る船の後ろの甲板から見る「ひきなみ」。 白波のラインがずっと伸びていく光景が、遠い記憶とシンクロする。 作家が言うように、忘れていた記憶は僕の奥底に跡を残していた。 それにしても、この人の小説を読むと表現や

          千早茜の「ひきなみ」

          海外旅行のおすすめ「観光案内所」

          僕は、列車やバスで初めての町に降り立ったら「i」の看板を探す。Tourist information center観光案内所のアイコンは、世界共通で「i」。 海外へ一人で出かけ始めた80年代後半。現地での情報源は、当時マイナーだったガイドブック「地球の歩き方」だった。 「地球の騙し方」のおかげで体験談の投稿や町の中心部などは手書き地図だったり。旅先で知り合った日本人旅行者とは「地球の騙し方」と揶揄しあうほど古い情報や偏った主観情報に困ったこともある。「冷房の効きの良い部屋

          海外旅行のおすすめ「観光案内所」

          僕の「ムーン・パレス」

          誰だ、「青春小説」なんて安っぽい括りを始めたのは! あらすじや感想が書けない。 かといって、気の利いた修飾語も浮かばず。 でも書きとめておきたい。 飲み会とかで、本の話になって「『ムーン・パレス』っていう小説が好きだ」なんていう人に出会ったら嬉しいだろうな。 そうしたら僕と彼もしくは彼女は、『ムーン・パレス』について語るのではなくて、互いの過去のことやそれぞれが描く将来へのことについて夢中になって話すような気がする。 自分や家族や身の回りに「ありえないような」出来事が次

          僕の「ムーン・パレス」

          帰国途上で書いた EURO2024観戦雑記6

          決勝はブランデンブルク門で決勝のスペイン対イングランドは、ベルリン、ブランデンブルク門の西エリアに区間されたファンゾーンで観戦することにした。 列車でベルリン中央駅に到着したその足でファンゾーン会場付近を下見、入場ゲートの場所や経路を確認してからホテルにチェックインした。 無料イベントのリスク管理値段と立地優先で予約した一晩だけのホテルは、ベッドが収まるだけの狭い部屋。 夜に備えて2時間近く休んで、リュックを置いて手ぶらで再び会場に向かった。 ユーロ大会では、スタジアムにも

          帰国途上で書いた EURO2024観戦雑記6

          明日決勝に備えて体力温存 EURO2024観戦雑記5

          いよいよ明日決勝。スペイン対イングランドで幕を閉じる。 現地観戦旅は、3週間を超えて疲労が蓄積してきたが、ここフランクフルトから、ベルリンへの1泊2日の強行軍を決めた。 片道約5時間の移動と、数万人が集結するはずのパブリックビューイングに備えて、今日は穏やかに過ごすことにしてこの原稿を書いている。 ファンゾーン、カフェ観戦とはいえ21時開始はキツイ公式アプリで買えるチケットに決めていたから、スタジアム観戦は予選リーグの1試合だけ。それでも各国サポーターたちに交じって無料ファ

          明日決勝に備えて体力温存 EURO2024観戦雑記5

          速報準決 フランクフルトのファンゾーンでは、7・3でスペイン応援の人が多かった EURO2024観戦雑記4

          定かではない。感覚だけどフランクフルトのファンゾーンの準決勝スペイン対フランスは、7・3でスペイン応援の人が多かった。 フランクフルト在住のドイツ人、スペイン人、フランス人。殺気立った雰囲気はなかったけどどちらかと言えばスペインのプレーに、より盛り上がっていた。フランクフルトだからかどうかはわからない。 試合後、街中に向かう路面電車のホームにいたら、スペイン国旗をはためかせてクラクションを鳴らす車を数台見かけた。

          速報準決 フランクフルトのファンゾーンでは、7・3でスペイン応援の人が多かった EURO2024観戦雑記4

          僕にとってのポルトガル代表 EURO2024観戦雑記3

          PKを外したC・ロナウドが大泣きしていた。 あー、ポルトガル代表に惹かれるのはこれなんだよなと感じ入った。 初体験は、2000年のユーロオランダ大会。 フィーゴが、対峙した選手の右にボールを出して自分は左から走り抜けかわして行くドリブルをスタジアムで見た。ルイ・コスタの鋭く長いスルーパスに、ヌーノ・ゴメスの躍動に惹き込まれた。大航海時代を想起させるドラマチックな曲調の国歌斉唱に痺れ、応援コールの「ポルトガル」が「プートゥ、ガ」に聞こえた。 華麗と表現された黄金期ポルトガル

          僕にとってのポルトガル代表 EURO2024観戦雑記3

          EURO2024観戦雑記2 スペイン戦をスポーツバーで。

          サッカー欧州選手権ドイツ大会、ヨーロッパでEUROCOPAと呼ばれているこの大会は、この原稿を書いている時点で準々決勝進出8チーム中4チームが決まっている。 昨夜はイングランドとスペインが進出を決めた。 18時試合開始だったイングランドの奇跡的な逆転勝利については、日本でも伝えられていると思う。スロバキアに0-1のままだったアディショナルタイム5分、イングランドが同点に追いついてそして延長勝利。同点弾ベリンガムのバイシクルシュート、決勝ゴールはエースのケインと最高の終わり方

          EURO2024観戦雑記2 スペイン戦をスポーツバーで。