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風の人、土の人

「風の人、土の人」という言葉を知ったのは20年ぐらい前。地域医療の前線で奮闘する医師を取材したノンフィクション「風と土のカルテ―色平哲郎の軌跡」(著者/山岡淳一郎)という本で知った。
僕はそれから幾度となく、プライベートでも仕事でも、「風の人、土の人」という言葉の意味を思い起こすことがあった。

農学者・玉井袈裟男が記した下の文章が心に染み入る。

風と土

風は遠くから理想を含んでやってくるもの
土はそこにあって生命を生み出し育むもの
君、風性の人ならば、土を求めて吹く風になれ
君、土性の人ならば風を呼びこむ土になれ
土は風の軽さを嗤い、風は土の重さを蔑む
愚かなことだ
愛し合う男と女のように、風は軽く涼やかに
土は重く暖かく
和して文化を生むものを
理想を求める風性の人、現実に根をはる土性の人、集まって文化を生もうとする

(玉井袈裟男)

大仰に掲げるより、風の人と土の人が信頼し合うことで事(こと)が成る。そういうことはあると思う。

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