ゼロから始める伊賀の米づくり35:台風が迫る中、3年目の収穫🌾
2022年9月。今年の稲刈りは、家族3人で取り組むこととなりました。
父から継いだ田んぼでの稲刈りも、これで3回目。
少しは慣れてきたような気がしますが、毎年新たな課題やチャレンジに取り組むことになり、結果として毎年新人のような気持ちで臨んでいます。
今年の稲刈りの、当初の懸念点
今年の収穫は、一筋縄ではいかない難しい条件がいくつも重なりました。
まずは、お隣の田んぼから(おそらく)除草剤が飛んできて、我が家の田んぼの一角を枯らしてしまったこと。(詳細と経緯は以下に)
これで、減収は避けられないだろうと感じていました。
さらに厄介なこととして、台風11号が収穫の時期に直撃するのではないか?という危惧もありました。
週間予報では、伊賀の地域ではほとんど雨予報。
雨が降ってしまうと、稲刈りをすることができません。
毎日、ネットやスマホで情報を確かめながら、まんじりともせず過ごしていました。
雨により滞る、稲刈りの作業の例
この雨というのは、稲刈りをする身としては厄介なものです。
まず、雨によって田んぼが水を含むと、収穫機械のコンバインのキャタピラを泥が取ってしまい、また、田んぼの土も荒れてしまいます。
また、泥や、雨や泥に塗れた稲穂をコンバインが刈り取り、取り込むと、泥や石、稲藁などが機械に詰まりやすくなります。この詰まりを取る作業もなかなか時間を時間を取ってしまう為、一度機械が詰まって止まってしまうと、かなり精神的に参ってしまいます。
さらに、雨に濡れることで籾の乾燥が遅れてしまう、ということも起こってしまいます。
稲刈りのフローを単純化すると、稲の刈り取り、
籾を乾燥機へ運搬、
乾燥、そして籾摺り。
ざっとこのようなプロセスを経るのですが、籾が濡れている場合、乾燥機で籾を乾かす時間がかかってしまい、これまた後々の予定に影響してしまうこともあります。
このように、米農家の多くの人にとって、稲刈りの時期の雨予報はなんとも悩ましいものです。
自然や天気とともに仕事をする農家は、人間の決めたスケジュールや計画通りになるとは限りません。どこかで誤差が出ることもあります。
今年に関しては台風の予報が不確実性の一つであり、そのような状況を内包したまま、稲刈り当日を迎えることとなりました。
当日の稲刈りの様子
稲刈りを予定していた当日の朝は、ありがたいことに秋晴れの良い天気でした。
台風の影響もあって風が吹いていましたが、それも日差しの暑さを和らげ、心地よさを感じさせてくれる程度。
朝露が日差しと風によって乾いてくれば、稲刈りもバッチリできる良い天気となりました!
ありがたいです。
まずは、神社の前の田んぼから刈り始めることとしました。
神社の前の田んぼの稲穂は、7割ほどが地面スレスレに倒れてしまっており、コンバインでの収穫が本当にやりづらい状況になっていました。
稲穂が倒れる原因としては、そもそも稲穂がよく栄養を取り入れ、穂ができることで頭が重くなることにあります。
それだけならば収穫量も増えて万々歳で終わるのですが、この重くなった稲穂に雨が打ちつけてきたり、台風などで雨風に晒されると、頭の重さに耐えきれず倒れてしまいます。
倒れてしまった稲は田んぼの地面に触れて水気を含んでしまったり、泥水を被ってしまうこともあり、これがまた機械の故障の原因になることがあります。
また、地面スレスレの稲を刈ろうとコンバインの刈り刃を下げすぎると、地面を削ったり石を噛んだりして、これが刈り刃を傷つけてしまうこともあります。
今年はお盆明け以降に集中的な大雨が降ることが多々あり、その中で稲の大半が倒れてしまいました。
欲を言えば、お盆以降は大体良い天気で、かつ雨が降ったとしても穏やかな強さで……そうであれば人間目線ではやりやすいのですが、やはり自然や天候はままならないものです。
それでも、3年目ともなれば多少経験値も蓄積され、稲のこと、田んぼの土のこと、機械のことに対して気づきや発見も多くなり、より詳細なポイントまでチェックできるようになりました。
これまでの記録も丁寧に残してきたことと、それを振り返りに活用してきた甲斐があったというものです。
今年に関しては作業分担もできるように、弟にも一通り機械の仕様・運転を行ってもらいましたが、さすが自分よりも要領も飲み込みも良い弟です。
信頼して託していける安心感がありました。
実際にコンバインに乗って田んぼへ出てみることで初めて感じられる土や機械、稲のコンディションもあります。
田んぼに雑草の侵入・繁茂を許してしまうと、その雑草を刈り込んだ時に機械が止まってしまう原因となったりします。
そのために前もっての除草といった一手間が作業の効率を高めることが改めてわかりました。
また、田んぼによって日射しを受ける時間、角度などが異なるため、稲穂の実りの良い田んぼ、それほどの田んぼも機械の調子によってわかるようになってきます。
このような体感でしか分かち合えない経験則や技術を、弟とも分かち合えたことは大きな収穫でした。
刈り終えてみれば、予想されていた雨にもほとんど見舞われず、望む限り最短日数で稲刈りを終えることができました。
さあ、稲刈りの次は乾燥と籾摺りです。今年はどれだけの収量となったのか、このプロセスでようやくわかるのです。
次回の記録は乾燥、籾摺り、そして袋詰めまでのプロセスについてまとめたいと思います。