「とりかへばや物語」

ジジイになってやっとわかる古典の魅力ぢゃ…。

平安時代の小説であるが、作者はわからない。物語の原型が作られて、後に、いろいろと手が加えられて、現在の形のものが伝わったらしい。

今でいうジェンダーを扱った内容で、大昔から、こういうことが問題にされてたのだなぁと感心する。「とりかへばや」とは、「取り替えたいなぁ」という意味。

ある貴族に2人の子供があるが、1人はおしとやかで女性的な性格の男児、1人は行動的で男性的な性格の女児。
父は「取り替えたいなぁ」と考えていて、男児は姫君、女児は若君として育てられる。
成人して、若君は男として宮廷に仕え、姫君は女として後宮に仕える。
若君(女)は大臣の娘と結婚させられ、姫君(男)は主君の女性に恋をする。
お互いに性を隠していたことで騒動が起きるという物語だ。

いろいろあったが、結局はお互い、自分の性に戻って幸せになるというハッピーエンドで終わる。

2人ともたいそう素晴らしい美少年・美少女というから、“契り”を結びたい貴族らがいっぱい寄ってくる。

特に、若君(女)が、ある貴族に女であることがバレるけど、若君もその貴族が大好きだったので、ついに身を許してしまうシーンは面白い。

後世の考えではあるが、女性的だろうが男性的だろうが、本来持ってる性と、社会的に見られてしまう性の役割と違いを浮き彫りにした問題作ともいえるだろうな。

宮が女君に対していう。「前世からの因縁であるから、人の力の及ぶところではない。この世の不遇を悩むよりは、与えられた艱難(カンナン)として受け入れ、生きよ」…。


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TOMOKI
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。