社会人留学の後悔・英語・キャリア |シアトル留学4ヶ月目の視点から
シアトル留学に来て4ヶ月が経ちました。前作「社会人留学の後悔・英語・キャリア(シアトル留学2ヶ月目の視点から)」が好評で90件を超えるいいねをいただきました。ありがとうございます。また友人知人からもたくさんのFBももらって、久々に書くことの楽しさを取り戻しました。
そこからさらに2ヶ月、日々成長ですが思ったこともそれなりにあるので、社会人留学を考えている方、英語を伸ばしたい方に向けて、思っていることを書こうと思います。
裏テーマとしては、「2ヶ月前の自分に向けた話」です。
「何になるか」を選ぶのが圧倒的に下手な件
カリフォルニアに旅行に行って、このことばかり考えていました。いわゆる「俺はどう生きるか」問題。
仕事を始めあらゆる活動において、馬力はあるし、積んでいるエンジンは大きい。なんでもできる。だけど、「何をやるか」を選ぶのが圧倒的に下手で、2〜3年の時間を投資した後に、「何やってるんだろう」と後悔することありませんか?私はしばしばです。
「欲望の見つけ方 お金・恋愛・キャリア」は、「人間の欲望は、ほとんどの場合。他人の欲望の模倣である」というのをテーマに、それでも模倣であることを認めたくない私たちが、どうやって自分の本当の濃い欲望を見つけていくかということが書かれた本です。シリコンバレーの起業家ルーク・バージスが、欲望の哲学を体系化したルネ・ジラールの理論を背骨に、ピーター・ティールや故トニー・シェイ(ザッポスの創業者)とのエピソードを交えて語ります。
シリコンバレーのApple本社を訪れて受けた感銘は少しこの「模倣」の話に重なるところがあります。Apple本社(通称Apple Park)は、北海道のようなだだっ広い土地に建設されたドーナツ型の宇宙船のような建物です。周りが緑に覆われ、ビジターは建物を見ることすらできません。そこはサンフランシスコ市内のセールスフォースやXなどとは違い、外界からの刺激に惑わされることなく、自分たちのビジネスに集中できる格好の環境でした。
東京を含め都市圏で過ごしていると、なんとなく「カッコいい仕事がしたい」みたいな欲望に駆り立てられません?「キラキラした仕事がしたい」みたいな。早い話がコンサルになりたい、とか。でもそれって、本当に自分がなりたいのか、みんなが指差していいと言っているからなのか、「社会的に認められてる頂点の仕事がしたい」みたいな欲望って、サステナブルなのか。自分から出てきているのか。
まあその競争の原理を利用するっていうのもありだと思うけど、でも自分は飛行機の中とかで色々考えて、「イタリアの田舎町のビザが取りやすいところで、業務委託で開発請け負いながら、自分が作りたいプロダクトも作れればいいな」とかっていうくらいの願いがあることにも気づきました。
要するに「自己分析」っていう話なんですが、まあこの「薄い欲望(模倣した欲望)」と「濃い欲望(自分の過去の充足感を覚えた経験から導き出される理想の姿)」という二重構造、そして模倣の重力のいかに強力なことか(基本的には逃れられないので、自分の中の価値判断に優先度をつけて、毎度使うべし)というのを知っていると、よりクリアに自分の欲望に忠実になれるのではないかなと思いました。
この辺はセルフアウェアネスとも重なるところで、「自分の内臓を覗き込む」みたいな矛盾した活動でもあるんだけど、なるべく後悔のないように生きたいなと思うこの頃です。
カリフォルニア(サンフランシスコ〜ロサンゼルス)旅行は、そういう意味で非常に得るものが多かったですよ。ちょっと「自分探しの旅」感があったけど、でも「自分探しの旅」って、適切な量のインプットがあって、それを発酵させる(考える)時間だとしたら、意外とワークするものですよ。簡単に揶揄してよいものではない。
まあこの写真とか超大学生っぽいですけどね。自分もこれ見て、「アメリカ遊びに来てるんじゃないんだけどやばいかな…」って思っちゃいましたがまあ色々理由をつけて自分を納得させました。
アメリカに来たことは間違いだったのか
まあそもそも、アメリカに来たこと自体は間違いじゃなかったかな、と今はもう少し自信を持って言えます。
正直、4ヶ月経っても、文字通り毎晩、このことを考えます。「本当に来て良かったのだろうか」「どうすればテイクアドバンテージできるのだろうか」と。
そのことを一回、マーケの授業の教授に相談しました。彼は新卒からずっとマーケで、当時スタートアップ規模のヘルスケア製品企業で電動歯ブラシを世界的に大ヒットさせたキャリアの持ち主です。
うえむら「前職では、マーケの仕事をするうちに、ある程度大きな課題が解決してしまって、成長を感じられなくなっていった。マーケターとしてどういうキャリアを歩んでよいか分からないまま、成長したいという思いでアメリカに来た。そのことをいつも考えている。ここに来たのは正解なのかと」
ビル(教授)「基本的によい選択だと思う。自分も最初に担当したプロダクト(食品関係だったが)は、時間が経つにつれて課題が小さくなっていき、業務もルーティーン化していった。マーケではよくあることだ。その時は外に飛び出すとか、成長を求めて環境を変えるのがいい」
この話をした後からビルをメンターにしようと心で思ったのですが、自分が前の職場で感じていたフラストレーションは、幻でもなんでもなく、よく起こりうることだったんだなと、少し霧が晴れたような気がしました。まあそりゃ当たり前ですよね。問題解決なんて終わりがあるんだから、新しい課題に積極的に飛び付かなきゃいけない。
また、キャリア関係の授業では、別の講師がこうも言っていました。「2年経って昇進が無かったら、その会社は辞めた方がいい」。「アメリカでは」という話なのかもしれませんが、自分の場合はまさにこれだったので、2年半というのは辞めどきとしてもベストだったのかなと思います。
まあこういう話を聞くにつけて、少しは安心できるんですよ。自分の選択に対して。それでも「ここから先何をするか」というのは別問題ですが。
クラス終了まで残り4ヶ月。その間のOPT就活と自己研鑽。まさに『ウォッチメン』のように、時が迫っています。タイムコンストレインツを意識しだす今日この頃です。
英語はハノンをやれ
英会話力、スピーキング力を上げたいのなら、「英語のハノン」をやりこんでください、というのが僕の最近のおすすめです。
前回のnoteで、「英語はやっぱり発話と暗記」という話をしました。ハノンは、完全にこの「発話」と「暗記」に沿っています。例文をリプロダクションするんです。しかも超早口で。文自体は簡単なんだけど、それを節の順序を変えたり、thatをwhoに変えたり省略したり、分詞構文に変換したり、というのをスパルタ的にみっちり練習していきます。
「ハノン」とはもともとピアノの指の運び方や音階などさまざまなパターンが書かれた有名な練習曲集です。プロの奏者でも自分の指を錆びらせないようにたまに立ち返る教本。野球でいう素振りのようなものですね。そんなハノンにならって、英文を一人でリプロダクションする、という「英会話の基礎練習」ができるのがこの「英語のハノン」です。
「英語の身体性」と言いますか、結局いきなり試合(英会話)をしても、だいたい負けるわけですよ。基礎練なしでは。一人で練習できる部分が圧倒的に多いので、それをやってから英語話者と相対せよ、というところですかね。
英語スピーキングの世界的な基準に「CEFR」というのがあり、冬休みの1ヶ月間、ハノンを1日2~3時間やって、B1からB2にレベル上げました。
レベル測定は、アプリ「PROGOS」を使いました。今なら無料で測定できますが、今後有料化するそうです。
B2レベルというのは、「やっと海外生活での英会話が楽しくなるレベル」で、「英語学習者」から「自信を持った英語話者」に変わるタイミングです。グローバルビジネスで通用しだすレベルで、日本人の最多レベルが「A2 High」なのに対して、B2以上は6%しかいないということが明らかになっています。
自分の当面の目標は、半年でC1に上げることです。C1はB2の2倍のボキャブラリーが要るとされ、その間に複数の言語をBレベルまで上げることができるほど、時間のかかる難易度の高い作業です。しかしせっかくアメリカにおるのだし、なるべく上を目指そうと思います。
著者のひとりは横山雅彦さん。たまたま、前職で上長に紹介してもらった良書「大学受験に強くなる教養講座」の人でした。
全然回し者でもなんでもないですが、ハノンのコンセプトが好きすぎてのご紹介でした。