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43歳HSPのわたしが女性管理職に。ピンチを救ってくれたのは赤の他人のコーチ

人生をふと振り返って「あの時は人生のピンチだったなぁ」と思うことが、一つや二つはあると思います。

わたしにとって間違いなくその一つは、43歳の時。
勤めていたコールセンターでマネジャーになったのです。辞令が降りた時は「うれしい」という気持ちより、「どうしよう?」と途方に暮れたのを今でも覚えています。

20名の多国籍チーム。欧州言語を華麗に操るヨーロピアンチームと、20代から40代まで世代も幅広だったジャパニーズチーム。個性豊かなスタッフに囲まれ刺激的な反面、価値観もバラバラなので、意思の疎通に苦労することが多かった!

マネジャーになった瞬間に、昨日まで一緒に助け合ってきたスーパーバイザーチームも管理する立場に。一気に孤独感が押し寄せてきました。もちろん上司がいましたが、日本から赴任していた男性駐在員だったため、どちらかというとわたしが彼とローカル(多国籍チーム)のつなぎ役。また社内に男性マネジャーはいましたが、女性マネジャーはいなかったのでロールモデルがいませんでした。

困っていても上司には相談できない。同じ立場の人がいないので同僚にも相談できない。一番身近にいた外国人の夫は、日系企業で多国籍チームをまとめるつらさなどわかるはずがなく、相談するつもりもありませんでした。


そんなわたしでしたが、たった一人、相談できる人がいました。
スーパーバイザー時代からお世話になっていたコーチのMさんです。

出会いのきっかけは、Mさんの体験セッションを受けたこと。コーチングが何だかわからないけれど、当時も仕事のことで悩んでいたわたしは、とにかく話を聞いてほしい、そしてアドバイスが欲しいと、藁にもすがる思いで申し込むことに。

「バリキャリな怖い人だったらどうしよう?」
ドキドキしながら指定されたホテルのラウンジに行くと、小柄で可愛らしい女性のコーチが待っていました。海外生活が長い方だったので、日系企業で多国籍チームをまとめるつらさもすぐ理解してくれて、「あぁ、わたしのことをわかってくれる人がやっといた!」とホッとしたのを覚えています。

それから月2回、定期的にセッションを受けていました。
コーチングが何だかわからなかったけれど、わたしが「いいな」と思ったのは次の3つです。

批判や意見を押しつけられずに、フラットに話を聞いてもらえる

こういう機会って、今のあなたにありますか?
わたしにはまったくありませんでした。
上司に相談すれば「良い・悪い」「正しい・まちがっている」を基準に批判され、家族や友達に相談すると「気にしすぎだよ」「こうやったらうまくいくよ」と聞いてもいないのに、相手の意見を押しつけられることが多かったのです。

それに対して、コーチは話を聞くプロ。批判や意見を押しつけられることはまったくありません。わたしの話をそのまま聞いて、ただ受け止めてもらえる。何を話しても安心な場があるというのは、実は一番ありがたかった点です。

質問をしてくれる

これも初めての経験でした。ここには書ききれないぐらい、わたしの視点がガラッと変わった質問をたくさんしてもらいました。また質問されることで自分の視野が広がったり、ひとりよがりな自分の考えに気づくことも多かったです。

例えば、良いマネジャーになろうと焦っていたわたし。
「何からすればいいんだろう?」と悩んでいたわたしに、「Tomokoさんがまずやめなきゃいけないことって何ですか?」とコーチは質問しました。「えっ?やめなきゃいけないこと?」行動を上乗せしようと焦っていたわたしの視点をガラッと変えた質問でした。

また「マネジャー=強いリーダーシップ」と思いこんでいたわたし。でもどちらかというとわたしはサポータータイプで、みんなを引っ張って先頭を歩くより、列の一番最後でみんなの背中を押していくタイプ。ギャップに悩んでいたわたしに「Tomokoさんがいいなと思うマネジャーのイメージは?」と質問され、わたしが目指すのはリーダータイプのマネジャーではなく、サポータータイプのマネジャーだと言葉にすることができました。

経験してわかりましたが、質問されると、脳って一生懸命考えるんですね。答えはすぐ見つかる時もあれば、時間がかかる時もありました。でも「問い」さえ立てておけば、潜在意識はずっと探しています。わたしはお風呂に入ってリラックスした時に「そうだ!」と思う答えにたどり着くことが何回もありました。

フィードバックをくれる(鏡の役割)

コーチングの基本は「答えはクライアント自身が持っている」
そのためコーチが積極的に何かを教えたりアドバイスすることは、実はあまりありません。そのかわりに、フィードバックは常にもらえます。
フィードバックは、評価やアドバイスとは違い、事実を伝えること。

わたしはどんな風に見えるのか?
わたしはどんな位置にいるのか?
わたしはどんな考え方をしているのか?
わたしはどんな影響を周囲に与えているのか?

コーチが鏡になって、わたしのありのままの姿をうつしだしてくれます。

例えば、コーチからのフィードバックはこんな感じ。
「わたしには、Tomokoさんがスタッフに嫌われるのを怖がっているように見えたのですが、どう思いますか?」
「今、声のトーンが3つぐらい下がりましたが、何か意味はありますか?」
「本当にやりたいことは他にあるように感じたのですが、どう思いますか?」

他人のことはわかるのに、自分のことは一番わからないものです。自分の見たくないところをフィードバックされて、「もういいです」と嫌になったことも。でも自分で気づかない(気づけない)方がよっぽど怖いと、わたしはつくづく思うのです。気づくことができれば、行動を起こすことができます。行動を起こすことができれば、ありたい姿に少しずつ近づくことができるのです。


自分の考えや思いを定期的に話して、言語化して、自分を客観視する時間を持てたことは、わたしにとって大きな財産となりました。そのおかげもあって、社内で2年間達成できなかった目標を、チーム全員で達成できた時は本当にうれしかった!

あの時コーチのMさんに出会えなかったら、わたしはこのピンチを乗り越えられなかったと思います。またこの経験を通して、わたし自身も「誰かの役に立ちたい!」とコーチングを勉強し、ライフコーチの仕事をすることになろうとは、その時は想像もしていませんでした。

それまでは、どちらかというと人に頼ることが苦手でした。(今でもそう)でもあの時は、コーチのMさんに頼るという選択をした自分に「グッジョブ!」と言ってあげたい。

職場で後輩ができたり、部署のチームリーダーになったり、女性が誰かの上に立つことは、これからどんどん増えると思います。そんな時「誰かを頼る」「安心安全な場で、自分と向き合う」という選択肢をぜひ持って欲しいなぁと、今振り返って思います。






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