民藝(みんげい)って? #3 そもそも工藝って?
前回のおさらい。
ざっくりまとめると、「民藝」は「工藝」のジャンルのひとつ。
このジャンル分けをめぐり、政府とイケオジ達がやんわりと対立します。教科書にもちょろっと出ていた「民藝運動」というやつ。
そもそも工藝(こうげい)って?
”美と生活とを結ぶものこそ工藝ではないか。工藝文化が榮えずば文化は文化の大きな基礎を失ふであらう。”(工芸文化 柳宗悦撰集 第三巻)
工藝の持つ意味は時代によって解釈が変わり続けているのですが、辞書の王様「広辞苑」ではこんな感じ。
こう‐げい【工芸】
①[新唐書閻立徳伝]工作に関する技術。製造に係わる技芸。
②美的価値をそなえた実用品を作ること。陶芸・木工・染織など。「伝統―」
①と②で少し意味が異なります。
もともとは①の意味だったけど、②に変わっていった。といった塩梅です。
富国強兵と工芸
「工芸」はもともと、中国から伝来した”漢語”で、絵画や建築などの造形全般、囲碁や弓道などの技能も含んだ意味でした。(①の意)
18世紀後半に欧米で「産業革命」が起こります。蒸気機関が生まれたやつ。同時期の日本では幕府が滅び、外国に追いつけ追い越せと、新しい文化や技術をじゃんじゃん取り入れます。これが「富国強兵」や「文明開化」というやつ。「美術」という言葉が生まれたのもこの頃。そこで、何かの拍子で「工藝」という言葉が飛び出し、②の様な意味を持ちはじめたのです。
伝統工芸
ちなみに、「工芸」と聞くと、漆器や陶芸なんかが真っ先に思い浮かびますが、これらは古来より伝わる伝統的な技術を用いた工藝ということで、「伝統工芸」なのです。(伝統の枠を飛び出てるモノもありますが)
僕のルーツでもある「丸亀うちわ」も、この「伝統工芸」の部類に入ります。
現代の「工藝」の解釈は、美しさを備えた実用品、または技術そのものを指しています。車などの工業製品も”美的価値”があれば工藝に含まれるのかも。
この”美的価値”というのが実に曖昧で、「民藝」が生まれたきっかけにもなるのです。
次回へ続きます。